コンプライアンスとは?
近年では、企業活動におけるコンプライアンスの重要性が高まっています。まずはコンプライアンスとは何か、なぜ強化が求められているのかを確認しておきましょう。
コンプライアンスとは
「コンプライアンス」とは、法令などの社会規範を遵守することを意味します。企業は、次に挙げる社会規範などを遵守することが求められます。
法令
ガイドライン
業界団体の自主規制
社内規程
契約
企業倫理
公正な取引慣行
社会常識 など
法令遵守との違い
コンプライアンスは「法令遵守」と訳されることがありますが、近年ではより広い意味で用いられることが多くなっています。
「法令遵守」とは、文字どおり「法令」を守ることを意味します。法令には、国の法律や政省令、地方公共団体の条例や規則が含まれます。
法令は企業にとって重要なルールですが、企業が遵守すべきルールは法令以外にもあります。ガイドラインや社内規程、取引先との契約などがその代表例です。近年では法令だけでなく、幅広い社内規程を遵守することをコンプライアンスと捉える考え方が浸透しています。
コンプライアンス強化が求められる背景
日本国内では、1990年代に企業不祥事が相次いだことを契機として、コンプライアンス強化の要請が強まりました。企業は法令を守ることに加えて、社会的に責任ある立場として行動することも強く求められるようになりました。
さらに近年では、SNSの普及等によって企業に対する社会の監視の目が強まり、不祥事が起こった場合のレピュテーションリスクが増大しています。そのため、企業がコンプライアンスを強化して不祥事を防止することの重要性が高まっている状況です。
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企業における主なコンプライアンス業務
企業がコンプライアンスを強化するに当たっては、多岐にわたる業務に取り組むことが求められます。主なコンプライアンス業務としては、次の例が挙げられます。
法令・ガイドラインの調査と対応
社内規程の整備|コンプライアンス規程など
組織体制の整備|取締役会・コンプライアンス委員会など
コンプライアンス研修の実施
内部通報の受付
コンプライアンス違反発生時の対応
法令・ガイドラインの調査と対応
法令は、企業が遵守すべき最も重要な社会規範です。法令を遵守するためには、その内容を正しく把握・理解したうえで、自社の状況に沿った対応をとる必要があります。企業においては、自社に適用される法令について、法改正を含めた最新の情報を収集し、社内規程やオペレーションに反映することが求められます。
法令の中には、官公庁によってガイドラインが公表されているものがあります。ガイドラインは法令解釈に当たって重要な実務指針となるため、ガイドラインが設けられている場合はその調査・対応も必要です。
社内規程の整備|コンプライアンス規程など
コンプライアンスを徹底するためには、社内の構成員が遵守すべきルール(=社内規程)を整備することが欠かせません。たとえば、次のような社内規程の整備が求められます。
コンプライアンス規程
内部通報規程
情報管理規程
ハラスメント防止規程 など
社内規程の整備に当たっては、どのようなコンプライアンス違反が想定されるのか、それを防止するために何をすべきか、違反が発生したらどのように対応するかなどを具体的に検討することが重要です。
組織体制の整備|取締役会・コンプライアンス委員会など
コンプライアンスの強化に取り組むために、必要な組織体制を整備することも大切です。
経営トップを含む取締役会については、取締役間の相互監視を機能させることがポイントになります。取締役会における業務報告を徹底する、社外取締役を選任するといった対策を検討するとよいでしょう。
そのほか、不祥事の予防や対応を担当するコンプライアンス委員会、内部監査部門、情報管理を専門的に取り扱う部門などの整備を検討しましょう。
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コンプライアンス研修の実施
コンプライアンスには経営トップや管理職だけでなく、現場で実働する従業員も含めて社内全体で取り組む必要があります。そのためには、定期的に従業員向けのコンプライアンス研修を実施することが効果的です。
コンプライアンスとは何か、なぜ重要かといった総論に始まり、情報管理や知的財産権のルールなどの各論も取り上げ、従業員のコンプライアンスに対する理解を深めましょう。半年~1年に1回程度はコンプライアンス研修を実施することが望ましいです。
内部通報の受付
コンプライアンス違反を早期に発見して対処するには、従業員が通報しやすい環境を整えることが重要です。そのための方法として、近年では「内部通報制度」が注目されています。
内部通報制度とは、社内の違法行為の通報に関して、通報者を保護する仕組みです。通報者が不利益な取扱いを受けないことを保障して、躊躇なく通報できる環境を整えます。
内部通報制度を導入する際には、社内または社外に通報窓口を設置しましょう。社内に通報窓口を設ける際には、担当者が適切に対応できるように、マニュアルの整備や研修を行うことも重要です。社外窓口は、外部の弁護士などに依頼することが考えられます。
内部通報窓口を設けたら、その存在を従業員に広く周知しましょう。通報者が不利益な取扱いを受けない旨も併せて周知し、従業員に安心感を与えることも求められます。
コンプライアンス違反発生時の対応
コンプライアンス違反が発生したときは、迅速に事態を収拾するための対応を行う必要があります。社内規程などによって定められた要領に従い、事実の調査や違反者に対する処分、ステークホルダーに向けた情報発信、再発防止策などを実施しましょう。
企業におけるコンプライアンス違反の具体例
企業のコンプライアンス違反の内容は多岐にわたるところ、特に次に挙げる違反がよく見られます。企業はこれらの違反につき、防止対策に取り組むことが求められます。
会社資金の横領
粉飾決算
個人情報の漏えい
不適切な取引|利益相反・独占禁止法違反・取適法違反など
労務管理上の不祥事|労働基準法違反・ハラスメントなど
会社資金の横領
会社の資金を管理する取締役や経理担当者などが、その資金を横領する事案がしばしば報道されています。
会社資金の横領は「業務上横領罪(刑法253条)」に当たり、行為者は「10年以下の拘禁刑」に処されます。また、横領の事実が報道やSNSによって拡散されると、企業としての社会的信用を失うことになりかねません。
粉飾決算
会社の業績を良く見せかけるため、実態とは異なる計算書類を作成することは「粉飾決算」と呼ばれています。
粉飾決算をした者は特別背任罪(会社法960条)の責任を問われ得るほか、上場会社の場合は金融商品取引法違反にも該当します。また、計算書類が虚偽であることが判明すれば、企業としての社会的信用も失墜してしまうでしょう。
個人情報の漏えい
企業が保有する個人情報は、個人情報保護法のルールに沿って管理することが義務付けられます。
不適切な管理に起因して個人情報が漏えいすると、個人情報保護委員会への報告や本人への通知を義務付けられることがあります。また、個人情報の漏えいが報道やSNSによって拡散されると、企業としての信用を失って顧客離れなどが起きてしまいます。
不適切な取引|利益相反・独占禁止法違反・取適法違反など
企業が行う取引については、各種法令によって規制が設けられています。たとえば、次の規制などが挙げられます。
利益相反
取締役が会社と自己の利益が相反する取引をしようとする際には、事前に会社の承認を受けなければなりません。
独占禁止法
公正な競争を確保するため、私的独占や不当な取引制限、優越的地位の濫用などの不公正な取引方法を禁止しています。
取適法(中小受託取引適正化法)
規模の大きな発注者が、小規模な受注者に対して不当な取扱いをすることを禁止しています。
企業が取引を行う際には、適用される法令を遵守しなければなりません。不適切な取引をすると、損害賠償や行政処分などのトラブルに発展するおそれがあります。
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労務管理上の不祥事|労働基準法違反・ハラスメントなど
従業員との関係では、労働基準法の規制に注意する必要があります。賃金・労働時間・休日・休憩・有給休暇などのルールを遵守しなければなりません。残業代の不払いや、上限を超える時間外労働などは労働基準法違反に当たり、労働基準監督署の是正勧告や刑事罰を受けることがあります。
また、近年では職場におけるハラスメントが問題視される場面が増えています。企業はセクハラ・パワハラ・マタハラ・ケアハラ・カスハラなどの各種ハラスメントの防止に取り組まなければなりません。職場でハラスメントが発生すると、被害者から損害賠償請求を受けるなどのトラブルに発展するおそれがあります。
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コンプライアンスにおいて法務部門が果たすべき役割
企業がコンプライアンスを強化するに当たっては、法務部門が中心的な役割を果たすことが期待されます。特に次に挙げる役割を意識し、自社の状況に適したコンプライアンス対策を検討しましょう。
法令・ガイドラインに関する調査と助言
リスク管理に関する助言
コンプライアンス研修の主導
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法令・ガイドラインに関する調査と助言
法的知見を活かして法令やガイドラインの調査を行うことは、法務部門の重要な役割です。調査によって得られた情報に基づき、経営陣や事業部門などに対して助言を行って、コンプライアンス違反の未然防止に寄与しましょう。
リスク管理に関する助言
コンプライアンス違反が生じた場合、企業はさまざまなリスクを負うことになります。
特に、法令に基づく行政処分・損害賠償・刑事罰といったペナルティは、企業にとって重大なリスクになり得ます。法務部門は法令上の取扱いを踏まえ、これらのリスクを正確に把握し、回避に向けた対応策を助言する役割を担います。
コンプライアンス研修の主導
従業員に対するコンプライアンス研修の内容は、法令や社内規程の内容を踏まえて検討する必要があるため、法務部門の有する知見が役立ちます。法令や社内規程の正しい理解や取扱いを、一般の従業員にも分かりやすい形で示せば、社内全体のコンプライアンス強化に貢献できます。
コンプライアンスについてよくある質問
コンプライアンス違反が生じたとき、企業はどのような責任を負いますか?
違反の内容により、官公庁による行政処分、被害者に対する損害賠償、刑事罰などのペナルティを受けることがあります。また、社会的信用の低下によって売上の減少や人材採用の難航に繋がるおそれもあります。
これらのリスクを防ぐため、コンプライアンスを徹底することが重要です。
コンプライアンス対応には、どのような部門が関与すべきですか?
経営陣・法務部門・コンプライアンス部門のほか、現場で実働する部門を含めて、全社的にコンプライアンスに取り組むことが求められます。関係部門が連携し、効果的なコンプライアンス対応を行いましょう。
「GovernOn」で属人化するコンプライアンス体制を仕組み化
コンプライアンス強化には、取締役会やコンプライアンス委員会といった組織体制の整備、決議・議事録の証跡管理が土台になります。「GovernOn」は、会議体運営や書面決議、監査証跡管理をひとつのプラットフォームに集約し、属人化しやすい運営業務を標準化します。担当者が変わっても運営品質を維持しやすくなり、コンプライアンス体制の継続的な強化を支援します。
まとめ
法令などの社会規範を遵守するコンプライアンスは、企業にとって年々重要度を増している課題です。経営陣や法務部門が中心となり、社内全体でコンプライアンス強化に取り組みましょう。
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