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内部統制とガバナンスの違い|それぞれの定義・目的と法務の実務上理解したいポイント

内部統制とガバナンスの違い|それぞれの定義・目的と法務の実務上理解したいポイント
この記事を読んでわかること
    • 内部統制とコーポレートガバナンス、それぞれの定義と目的の違い
    • 内部統制システムの構築・運用を誰が担うのか(取締役会の役割と法的根拠)
    • 内部統制において法務部門が果たすべき役割
    • 内部統制とガバナンスに関するよくある疑問への回答
    • 両者を連動させた体制を仕組み化するための視点

内部統制とコーポレートガバナンスは、しばしば同じような意味で使われますが、実際には目的も対象範囲も異なる概念です。内部統制は、業務の適正を確保するための仕組みを指します。一方でガバナンスは、経営の意思決定や監督を行う枠組みそのものを指す、より広い概念です。内部統制は、このガバナンスという枠組みの中で実行される機能の一つとして位置づけられます。本記事では、両者の違いと関係性を整理したうえで、法務部門が内部統制システムの構築・運用に関わる際に押さえておくべき実務ポイントを解説します。


【ガバナンス体制構築をAIで実現する「GovernOn」】内部統制とガバナンスを連動させた体制を仕組み化するうえでは、この後解説するように、取締役会や監査役会の議事録、決議内容、監査証跡などを裏付けとして管理できる基盤が重要になります。「GovernOn」なら、こうした情報をひとつのプラットフォームに集約し、必要な記録をすぐに参照できる状態を作れます。

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内部統制とコーポレートガバナンスの違い

内部統制とは? 会社法上の位置づけと目的

内部統制とは、会社が業務を適正に行うために整備する体制のことです。「統制」という言葉から堅い制度を想像しがちですが、実務的には、不正やミスを防ぎ、業務を効率的かつ適正に進めるための仕組み全般を指すと理解しておくと分かりやすいです。

内部統制の主な目的は、次の3点に整理できます。

  • 不正行為の防止
  • 業務上のリスクの管理
  • 業務の効率性・適正性の確保

なお、上場企業においては、金融商品取引法に基づく内部統制報告制度(いわゆるJ-SOX)も内部統制に関わってきます。適用対象となる企業の範囲や具体的な条文の内容は制度改正により変わる可能性があるため、自社が対象となるかどうかは最新の法令・監督官庁の情報で確認することをおすすめします。

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コーポレートガバナンスとは? 対象範囲と目的

コーポレートガバナンス(ガバナンス)とは、企業統治とも呼ばれ、経営の意思決定や監督を行う仕組みそのものを指す概念です。取締役会や監査役(会)、株主総会といった機関が、経営を適切に方向づけ、監督する構造全体がガバナンスにあたります。

ガバナンスの目的は、株主や投資家、取引先、社会といった、企業を取り巻くさまざまなステークホルダーに対して、適正な経営を実現することにあります。内部統制が「業務プロセス」に焦点を当てた概念であるのに対し、ガバナンスは経営全体の意思決定・監督構造という、より広い射程を持つ概念だといえます。

比較表でわかる内部統制とガバナンスの違い

内部統制とガバナンスの違いを、次の表で整理します。

比較表でわかる内部統制とガバナンスの違い

内部統制システムの構築・運用を担う取締役会

内部統制システムは、法務部門や特定の業務部門が独自の判断で整えるものではなく、取締役会がその構築を決定する、会社の機関設計上の仕組みです。ここでは、取締役会が担うべき役割を、決定に関する法的根拠と、構築後の運用監督という2つの側面から整理します。

取締役会が内部統制システムの構築を決定する法的根拠

内部統制システムは、すべての企業に一律に構築が義務付けられているわけではありません。取締役の職務の執行が法令・定款に適合することを確保するための体制その他会社の業務の適正を確保するために必要な体制の整備は、取締役会が取締役に委任できない専権事項とされています(会社法362条4項6号)。そのうえで、資本金5億円以上または負債200億円以上に該当する、いわゆる大会社である取締役会設置会社については、取締役会がこの体制整備を決定することが義務付けられています(会社法362条5項)。

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取締役会には、運用状況を監督する義務もある

内部統制システムは、構築して終わりではありません。取締役会には、構築した内部統制システムが実際に機能しているかを継続的に監督する義務があります。

具体的には、各部門からの定期的な報告を確認し、想定どおりに運用されているかを把握することが求められます。報告のたびに内容を精査せず形式的に受け取るだけでは、監督義務を十分に果たしているとはいえない可能性がある点にも留意が必要です。

内部統制において法務が果たすべき役割

経営層・社外役員への説明責任を果たす

内部統制とガバナンスは、しばしば別々の制度として並列的に語られます。しかし実際には、ガバナンスという枠組みの中で内部統制システムが実行機能として働いている、一体の構造です。法務部門には、この構造を経営層や社外役員に正しく伝える役割があります。

経営層が本質的に知りたいのは、制度の名称や定義そのものではなく、自社のリスクがどの程度低減されているかという実質的な状況です。法務部門は、制度の説明にとどまらず、この実質を伝える役割を担います。

運用状況を裏付ける証跡管理を整備する

内部統制システムは、構築されているだけでなく、実際に運用されている記録が残っていて初めて、実効性があると評価されます。したがって、運用状況を裏付ける証跡を日常的に整備しておくことが、法務部門の重要な役割となります。

監査対応や社外役員への説明が必要になった際、必要な情報をすぐに参照できる状態を普段から作っておくことで、対応にかかる時間や負担を大きく減らすことができます。

グループ会社を含めた運用の整合性を確保する

上場企業やグループ経営を行う企業では、自社だけでなく子会社を含めたグループ全体で、内部統制やガバナンスの運用状況を確認できる状態にしておくことも重要です。子会社ごとに運用の基準や記録の形式が異なっていると、グループ全体でのリスク把握や監査対応が困難になります。同じ基準・同じフォーマットで運用状況を確認できる体制を整えることが、法務部門に求められます。

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内部統制とガバナンスに関するよくある疑問(Q&A)

内部統制とガバナンス、どちらを先に整備すべきですか?

内部統制システムは、会社法や金融商品取引法上の法的な義務として求められる場合があるため、実務では内部統制の整備が先行するケースが多く見られます。

ただし、内部統制だけを整備しても、ガバナンス全体の実効性が担保されるわけではありません。取締役会による監督機能など、ガバナンス側の仕組みとあわせて検討する必要があります。「どちらを先に整備すべきか」よりも、両者を連動させた設計そのものを重視する視点が重要です。

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内部統制とガバナンスの整備状況は、何を基準に評価すればよいですか?

制度や規程が存在するかどうかだけでなく、実際に運用され、その記録が残っているかどうかを基準に評価することが望ましいといえます。

具体的には、取締役会への報告頻度、監査対応にかかる時間、不備を検知してから是正するまでのスピードなどが、実務上の評価指標になり得ます。ガバナンス側の評価観点を検討する際は、経済産業省が公表する「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」も参考になります(参考:経済産業省,「コーポレートガバナンスに関する各種ガイドラインについて」,(参照日:2026年7月31日))。

内部統制に不備が見つかった場合、ガバナンス上どのように対応すべきですか?

不備が見つかった場合は、その内容を取締役会や監査役等へ速やかに報告し、是正計画とあわせて対応することが基本的な流れとなります。

その際、単発の是正にとどめず、報告ラインやチェック体制など、ガバナンス側の監督プロセス自体を見直す視点を持つことも重要です。同様の不備が再発しない仕組みを作ることが、法務部門に求められる役割の一つです。

「GovernOn」で内部統制とガバナンスの証跡管理を仕組み化

取締役会・監査役会の議事録、決議内容、監査証跡などが分散していると、監査対応や社外役員への説明のたびに情報を探す負担が生じます。「GovernOn」なら、グループ会社台帳・会議体運営・書面決議・監査証跡をひとつのプラットフォームに集約し、AIで横断検索できます。これにより、内部統制の運用実態を裏付ける記録を、必要なときにすぐ参照できる体制を仕組み化できます。

まとめ

内部統制とガバナンスは、目的や対象範囲が異なる別々の概念です。しかし両者は対立するものではなく、ガバナンスという枠組みの中で、内部統制システムが実行機能として位置づけられる、相互補完の関係にあります。

法務部門には、この関係性を経営層や社外役員に分かりやすく伝えるとともに、運用状況を裏付ける証跡管理や、グループ会社を含めた整合性の確保といった実務を通じて、内部統制とガバナンスの橋渡し役を担うことが求められます。本記事で整理した内容が、自社の体制を見直す際の一助となれば幸いです。

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Legal AI Insight 編集部
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Legal AI Insight 編集部

 

株式会社LegalOn Technologiesが運営する法務実務メディア「Legal AI Insight」編集部。法務特化型AI「LegalOn」の開発・提供で培った知見をもとに、法務AIの活用・法務業務の効率化・法務DXの最前線を、現場の実務に役立つ視点で発信しています。

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