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不祥事を防ぐガバナンス体制の構築|会社の各機関の役割と内部統制との関係

不祥事を防ぐガバナンス体制の構築|会社の各機関の役割と内部統制との関係
この記事を読んでわかること
    • ガバナンス体制とは何か
    • ガバナンス体制において会社の各機関が果たすべき役割
    • 効果的なガバナンス体制の構築につながるポイント

企業不祥事に対する社会の監視が厳しさを増す中、各企業においてはガバナンス体制の構築が急務となっています。会社の各機関が役割を十全に果たし、相互に連携しながら強固なガバナンス体制の構築を目指すことが求められます。

本記事では、ガバナンス体制の基礎知識や、企業がガバナンス体制の構築に当たって意識すべきポイントなどを解説します。


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阿部 由羅
執筆

阿部 由羅

ゆら総合法律事務所 代表弁護士

西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。 

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ガバナンス体制とは

「ガバナンス」とは、企業がステークホルダーの立場を踏まえつつ、透明・公正かつ迅速・果断に意思決定を行うための仕組みです。そして、「ガバナンス体制」とは、ガバナンスを機能させるための組織体制を指します。たとえば、次に挙げる事項などが、ガバナンス体制の要素といえます。

  • 会社の機関(株主総会、取締役会、監査役、会計監査人など)をどのように設計するか
  • 内部統制をどのように整備するか
  • 各部署の組織をどのように構築して、どのように機能させるか など

ガバナンス体制が重視される背景

近年では、SNSやESG投資の普及などにより、企業に対する社会の監視の目が強まっています。それに伴い、企業はガバナンスを強化し、法令違反などの不祥事を防ぎつつ、ステークホルダーに対して透明性のある経営を行うことがますます重要となっています

ガバナンスの強化に当たっては、個々の役員や従業員が意識を高めるだけでは足りず、組織的にガバナンスを機能させることが必要不可欠です。そのために、企業の実態に合わせたガバナンス体制の構築が求められます。

ガバナンス体制を担う主な株式会社の機関と役割

ガバナンス体制を適切に機能させるためには、会社の機関が各々の役割を十全に果たすことが大切です。主な株式会社の機関の種類と、各機関がガバナンスにおいて担うべき役割を解説します。

株主総会|会社の最高意思決定機関

「株主総会」は、会社の基本事項を決定する最高意思決定機関です。取締役などの役員の選任・解任や定款変更などの決議を通じて、株主が経営を監督する役割を担います。

取締役・取締役会|業務執行とその監督

「取締役」は、会社の業務執行やほかの取締役の職務に対する監督を担います。「取締役会」は取締役全員で構成される機関で、重要な業務執行に関する意思決定などを担います。

取締役や取締役会は企業の司令塔として、ガバナンスの構築を主導することが求められます。

他方でガバナンスを十全に機能させるためには、取締役の相互監視が必要不可欠です。各取締役は、ほかの取締役の職務状況を把握したうえで、問題点があれば忌憚なく指摘や意見をすることが求められます。

監査役・監査役会|取締役に対する監査

「監査役」は、取締役の職務執行が法令や定款に適合しているかどうか監査する機関です。監査役全員で「監査役会」を組織するケースもありますが、各監査役は基本的に独立して監査を行います。

監査役は、取締役によって不正が行われていないかどうか客観的な視点からチェックし、もし不正を見つけたら指摘して是正を求める役割を担います。監査役の人選に当たっては、取締役との癒着のおそれがない人物を選ぶことが重要です。

会計監査人|計算書類の監査

「会計監査人」は、株式会社の計算書類を監査する機関です。公認会計士または監査法人が就任します。会社法上、次の会社では会計監査人の設置が義務付けられています。

  • 大会社(最終事業年度における貸借対照表の資本金が5億円以上、または負債が200億円以上)
  • 指名委員会等設置会社
  • 監査等委員会設置会社

会計監査人は、会社の財務に特化した監査を行います。特に取締役による粉飾決算などを防ぐためには、会計監査人の役割が重要です。

中小企業においては、会計監査人を設置しない場合もあります。その場合は、取締役や監査役において計算書類の適正性に関するチェックを厳密に行うことが求められます。

会計参与|取締役と共同して計算書類を作成

「会計参与」は、取締役と共同して計算書類を作成する機関です。公認会計士もしくは監査法人、または税理士もしくは税理士法人が就任します。

取締役会を設置している非公開会社において、監査役を置かない場合は、会計参与を設置する必要があります。その他の会社においては、会計参与の設置は必須ではありませんが、任意で設置されるケースもあります。

会計参与は、税務・会計に関する知見を活かし、取締役をサポートしながら適切に計算書類を作成することが求められます。

ガバナンス体制を支える「内部統制」

ガバナンス体制を実効性のあるものとするためには、「内部統制」の整備・運用が欠かせません。内部統制とは何か、および内部統制の目的と基本的要素について解説します。

内部統制とは

「内部統制」とは、企業における業務の効率性や適正性などを確保するため、企業内のすべての者によって遂行されるべきプロセスです。金融庁が公表している「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」では、内部統制は4つの目的を有し、6つの基本的要素から構成されるものと位置付けられています(詳細は次節以降)。

企業においては、ガバナンス体制の構築の一環として、組織の設計や活動などへ内部統制の6つの基本的要素を組み込み、それが4つの目的の達成につながるように機能させることが求められます。

参考:財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準|金融庁

内部統制の4つの目的

内部統制には、次の4つの目的があります。

  1. 業務の有効性・効率性:事業活動の目的の達成のため、業務の有効性および効率性を高めること
  2. 財務報告の信頼性:財務諸表および財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報の信頼性を確保すること
  3. 事業活動に関わる法令等の遵守:事業活動に関わる法令その他の規範の遵守を促進すること
  4. 資産の保全:資産の取得・使用・処分が正当な手続きおよび承認の下に行われるよう、資産の保全を図ること

内部統制の6つの基本的要素

内部統制の基本的要素とは、内部統制の目的を達成するために必要とされる構成部分です。内部統制の有効性を判断するための基準となるもので、次の6つが挙げられます。

  1. 統制環境:企業組織の基盤となる考え方や方針、組織の構造や慣行などを指します。他の基本的要素の基礎をなすものです。
  2. リスクの評価と対応:企業が抱えるリスクを識別・分析・評価し、それに対応する一連のプロセスを指します。
  3. 統制活動:経営者の命令や指示の適切な実行を確保するために定められる、社内の方針や手続きを指します。
  4. 情報と伝達:必要な情報を識別・把握・処理したうえで、組織内外および関係者相互間で正しく伝えることを指します。
  5. モニタリング:内部統制が有効に機能していることを、継続的に評価するプロセスを指します。業務内で行う「日常的モニタリング」と、独立した視点から行う「独立的評価」に分類されます。
  6. ITへの対応:組織目標を達成するための方針や手続きを定めたうえで、それを踏まえて組織内外のITに対し適切に対応することを指します。

ガバナンス体制の構築に当たって意識すべきポイント

企業においては、特に次のポイントを意識することが実効性のあるガバナンス体制の構築につながります。

  1. 「コーポレートガバナンス・コード 」を参考にする
  2. 「3ラインモデル」を意識する
  3. 相互監視が機能する組織設計を行う
  4. 内部通報制度を導入・運用する
  5. 継続的にガバナンス体制を見直す

「コーポレートガバナンス・コード」を参考にする

東京証券取引所と金融庁は共同で「コーポレートガバナンス・コード」を策定・公表しています。「コーポレートガバナンス・コード」は、企業における実効的なガバナンスの実現に資する主要な原則をとりまとめたものです。

コーポレートガバナンスの各原則を、各企業の実態に合わせた具体的な取り組みに落とし込むことで、ガバナンス体制を効果的に強化することが可能です。

参考:コーポレートガバナンス・コード|株式会社東京証券取引所

「3ラインモデル」を意識する

ガバナンス体制の構築に当たっては「3ラインモデル」という考え方が役立ちます。

「3ラインモデル」とは、次の3つの部門が三重にチェックを行うことで、企業における不正行為の防止やよりよい価値の創造を図ろうとするものです。企業内の部署の構造や、各部署における組織体制を設計する際には、「3ラインモデル」を意識するとよいでしょう。

  • 現場で実働を担当する事業部門等(第1線)
  • 財務・法務・コンプライアンスなどの管理部門(第2線)
  • 内部監査部門(第3線)

参考:IIAの3ラインモデル 3つのディフェンスラインの改訂|一般社団法人日本内部監査協会

相互監視が機能する組織設計を行う

特定の担当者や部署に権限が集中すると、不正やミスが発生しやすくなります。職務分掌や承認のフローなどを整備し、部署間で相互に監視・牽制できる体制を構築することが重要です。

内部通報制度を導入・運用する

ガバナンス体制を強化する有力な方法の一つとして「内部通報制度」の導入が挙げられます。

内部通報制度は、社内または社外に違法行為の通報窓口を設け、通報者に対して不利益な取扱いをしないことを保障するものです。不利益な取扱いを受けないことが保障されることにより、従業員は社内における違法行為を安心して通報できるようになるため、早期発見につながります。

継続的にガバナンス体制を見直す

ガバナンス体制は一度構築したら終わりではなく、事業の環境や法令などの社会規範、企業の構成員などの変化に合わせて不断に見直すことが求められます。定期的に運用状況の評価や課題の洗い出しを行い、社内ルールや運用方法をブラッシュアップしていきます。

ガバナンス体制についてよくある質問

ガバナンス体制とコンプライアンス体制の違いは?

ガバナンス体制とは、企業がステークホルダーの立場を踏まえつつ、透明・公正かつ迅速・果断に意思決定を行うための仕組み(=ガバナンス)を機能させるための組織体制を指します。

 「コンプライアンス」は法令などの社会規範を遵守することを意味し、ガバナンスを構成する重要かつ不可欠な要素です。「コンプライアンス体制」は、コンプライアンスを実現するための組織体制を意味しますが、ガバナンス体制の要素の一つとしても位置付けられます。

中小企業でもガバナンス体制は必要?

企業が持続的な成長を実現するためには、事業や組織の規模を問わず、社会の信頼を獲得することが必要不可欠です。したがって中小企業でも、自社の実態に合わせたガバナンス体制を整備することが重要といえます。

ガバナンス体制構築を支援するAIプラットフォーム「GovernOn」

実効性のあるガバナンス体制や内部統制を構築するには、会社法に準拠した組織設計だけでなく、社内規程の網羅的な整備や、日々の業務実行における継続的なリスク監査が欠かせません。しかし、法務・総務の専門人材が限られる中、これらを人力だけで完璧に運用し続けるのは極めて困難です。

AIコーポレートガバナンスプラットフォーム「GovernOn」は、自社の就業規則や各種社内規程をAIが一元的に把握・管理し、最新の法改正やコーポレートガバナンス・コードに照らし合わせて「規程の抜け漏れ」や「不整合」を瞬時に検知。職務分掌や承認フローなどの規程が正しく整備・運用されているかの確認をサポートし、ガバナンスの第2線・第3線における監査業務をデジタル上で支援します。

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ガバナンス体制構築に 必要な機能がここに。

まとめ

ガバナンス体制は、企業経営の透明化や、適切なリスクテイクを含む迅速・果断な意思決定を支えるものです。

各企業においては、自社の事業内容や規模などに応じたガバナンス体制を整備することが求められます。経営陣に対する監視、部署相互間の連携や監視、「3ラインモデル」の考え方に基づくチェック体制などを通じて、強固なガバナンス体制を構築しましょう。

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