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契約とは? ケース別の成立条件や企業の契約管理のポイントなどを解説

契約とは? ケース別の成立条件や企業の契約管理のポイントなどを解説
この記事を読んでわかること
    • 契約とは何か

    • 契約が成立する(有効となる)条件

    • 契約に違反したらどうなるか

    • 企業における契約管理のポイント

「契約」とは、当事者の合意によって権利や義務を発生させる法律行為です。売買契約・請負契約・委任契約・秘密保持契約など、さまざまな種類の契約があります。

企業が契約業務を行う際には、審査・締結・管理のプロセスを整えることが重要です。契約トラブルのリスクを防ぐため、適切に契約管理を行いましょう。

本記事では契約について、成立条件や違反した場合の取扱い、企業における契約管理のポイントなどを解説します。

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阿部 由羅
執筆

阿部 由羅

ゆら総合法律事務所 代表弁護士

西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。 

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契約とは?

企業が締結する契約には、さまざまな種類があります。まずは契約とは何か、どのような種類があるのかを確認しましょう。

契約とは?

「契約」とは、当事者の合意によって権利や義務を発生させる法律行為です。契約内容は当事者を拘束し、その内容に従って権利を取得したり、義務を負ったりします。 

たとえば売買契約なら、売主は目的物を買主に引き渡す義務を負う一方、買主に対して代金を請求する権利を得ます。買主は売主に代金を支払う義務を負う一方、売主に対して目的物の引渡しを請求する権利を得ます。

契約は法的拘束力を持つため、当事者は原則としてその内容に従わなければなりません。相手方が契約に違反した場合は、契約上の義務の履行や損害賠償などを請求できます。

契約の種類(類型)

契約は、民法で定められている13種類の「典型契約」と、それ以外の「非典型契約」に大別されます。どのような種類の契約があるのかを見ていきましょう。

典型契約|民法により定められている13種類の契約

「典型契約」とは、民法で定められている13種類の契約です。次に挙げるものが典型契約に当たります。

典型契約の種類

概要

贈与

贈与者が無償で財産を与え、受贈者がその財産を譲り受ける

売買

売主が財産を譲渡し、買主が代金を支払ってその財産を譲り受ける

交換

金銭以外の財産を交換する

消費貸借

種類・品質・数量の同じ物を返還することを約束して、(代替性のある)物を貸し借りする

(例)お金の貸し借りなど

使用貸借

無償で物を貸し借りする

賃貸借

有償で物を貸し借りする

雇用

使用者が賃金を支払い、労働者がその賃金を受け取って使用者の指揮命令下で働く

請負

注文者が仕事の完成を依頼し、請負人がそれを請け負って仕事を完成させる。注文者は請負人に対し、その仕事の結果に対する報酬を支払う

委任

委任者が法律行為または法律行為でない事務を委託し、受任者がこれを受任する

寄託

寄託者が物を預け、受寄者がその物を保管する

組合

当事者(組合員)が出資をして、共同の事業を営む

終身定期金

決められた人が死亡するまで、当事者の一方が相手方または第三者に対し、金銭その他の物を給付し続ける

和解

当事者が互いに譲歩して争いをやめる

非典型契約|NDAなど実務で頻出する類型

「非典型契約」とは、典型契約以外の契約をいいます。契約内容は、原則として当事者が自由に定められるため、非典型契約のパターンは無数にあります。

一例として、次のような非典型契約がよく見られます。

非典型契約の種類

概要

業務委託契約

委託者が業務を委託し、受託者がその業務を受託する

秘密保持契約(NDA)

秘密情報の開示・漏えいを原則として禁止する

ライセンス契約

ライセンサー(権利者)が知的財産権の使用を許諾し、ライセンシーがその許諾を受けて知的財産権を使用する

 

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【ケース別】契約は法的に有効か?

契約は当事者の合意によって成立し、原則として方式は問われません。したがって口頭でも契約は成立しますが、契約の成立や内容の立証が難しいという問題があります。

次の各ケースにつき、契約は有効に成立するのかどうかを解説します。

  1. 契約書などがある場合

  2. 注文書・注文請書やメール・チャットで合意した場合

  3. 口頭で合意した場合

契約書などがある場合|当事者が調印していれば有効

企業間で契約を締結する際には、その内容をまとめた契約書などを作成するのが一般的です。 

契約書には、当事者全員が署名・押印や電子署名によって調印します。これらの方法によって当事者全員の調印がなされれば、その時点で記載された内容について合意が得られたことになるため、原則として契約が有効に成立します

契約書と覚書・念書の違いは?

契約締結時に作成する合意文書の名称は、何でも構いません。「契約書」のほか「覚書」や「合意書」などの名称が用いられることがありますが、当事者全員が調印していればいずれも合意文書として有効となります。

「念書」や「誓約書」などの名称は、当事者のいずれかが単独で作成する文書に用いられるものです。当事者双方が義務を負うことが多い契約書や覚書とは異なり、念書や誓約書は、その作成者が提出先に対して一方的に義務を負います。

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注文書・注文請書やメール・チャットで合意した場合|申込みと承諾が合致していれば有効

契約書のような1通の合意文書を作成するのではなく、注文書と注文請書を交換したり、メールやチャットで注文と受注を行ったりするケースも見られます。 

これらの場合には、申込みと承諾が合致していれば契約は有効に成立します。たとえば、注文書を受け取った側が「注文書の内容のとおり受注します」と返信すれば、注文書の内容にて契約が成立します。

なお、申込みと承諾の内容が異なっている場合は、申込みを拒絶したうえで新たな申込みをしたものとみなされます(民法528条)。この場合、最初に申込みをした側が新たな申込みをそのまま承諾すれば契約が成立します。

口頭で合意した場合|有効だが、証明が難しい

書面の作成が必須とされているごく一部の契約を除き、契約は当事者の口頭での合意によっても成立します。 

ただし、契約に関する文書が全く作成されていないと、その成立や内容を立証するのは困難です。特に企業が契約を締結する際には、契約内容の明確化とトラブル防止のために、必ず契約書などの文書を作成することをお勧めします。

契約が無効・取消しとなるケース

契約書などが存在する場合でも、次に挙げるケースなどには契約が無効となり、または契約を取り消すことができます。

契約が無効・取消しとなるケース

概要

公序良俗違反

契約の内容が公の秩序または善良の風俗に反するときは、契約が無効となる

強行規定違反

契約によって変更できない法律の規定に反する契約条項は無効となる

意思能力の欠如

判断能力が低下し、自分の行為の結果を判断できない状態の人が締結した契約は無効となる

通謀虚偽表示

当事者が通謀して行った虚偽の契約は無効となる

錯誤

当事者が契約の重要な事項について勘違いをしていたときは、原則としてその契約を取り消すことができる

詐欺

当事者が騙されて契約を締結したときは、その契約を取り消すことができる

強迫

当事者が暴行や脅迫を受けて契約を締結したときは、その契約を取り消すことができる

未成年者による契約

18歳未満の者が自ら締結した契約は、原則として取り消すことができる

契約を履行しない場合(債務不履行)のリスク

契約に定められた義務を果たさないことを「債務不履行」といいます

債務不履行を起こした側は、履行不能である場合を除き、引き続き相手方に対してその債務を履行する義務を負います。また、債務の履行が遅れたことや、履行できなくなったことによって相手方に生じた損害を賠償しなければなりません。

相手方から催告を受けても債務を履行しない場合、相手方は契約を解除する可能性があります。契約が解除されたときは、受領済みの金銭の返還を求められるなど、深刻なトラブルに発展するおそれがあるので要注意です。

債務の履行や損害賠償などに応じない場合、相手方は裁判所に訴訟を提起するかもしれません。敗訴判決が確定した後で強制執行を申し立てられると、預貯金や不動産などの財産を差し押さえられてしまいます。

このような事態が生じないように、契約内容に従って適切に債務を履行することが大切です。

企業における契約業務の流れ

企業における契約業務は「審査」「締結」「管理」の3段階に分かれます。各段階で行う業務の概要とポイントを解説します。

契約審査|法的リスクの検討、契約交渉

契約を締結する前の段階では、取引に伴う法的リスクを分析したうえで、契約に定めるべき事項を検討します。実際のオペレーションを想定しながら、具体的な分析・検討を行うことが重要です。

契約書のドラフトに不適切な内容が含まれているときは、相手方にその旨を指摘して修正を求めます。納得できるまで相手方とのやり取りを何度も重ねて、契約内容を固めていきましょう。

契約締結|書面または電子契約

契約内容が固まったら、最終版の契約書を作成して当事者全員が調印します。

紙(書面)の契約書なら署名や押印、電子契約なら電子署名によって調印するのが一般的です。電子契約には、遠隔地からでも締結できる、契約ファイルの管理がしやすい、収入印紙の貼付が不要であるなどのメリットがあります。

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契約管理(契約書管理)|有効期間、更新・変更など

締結した契約書は、後から内容を確認できるように適切に保存します。電子契約のファイルは、電子帳簿保存法の要件を満たす形で保存しなければなりません。 

有効期間のある契約については、その有効期間を把握したうえで、期間満了が迫ったら更新の要否を検討します。電子契約サービスの機能を利用すると、契約の有効期間をもれなく管理できるので便利です。 

契約内容のうち変更すべき事項が生じた場合は、相手方と協議を行い、合意によって契約を変更します。変更契約書などを締結したときは、原契約書とすぐに対照できるような形で保存します。 

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企業が適切に契約業務を行うためのポイント

契約に関するトラブルを防止するためには、特に次のポイントに注意しながら契約業務を行いましょう。

  1. 実際の場面を想定したリスク分析

  2. 締結権限の確認

  3. 変更時における関連契約の確認

  4. 契約情報の漏えい防止

実際の場面を想定したリスク分析

契約書の条項は、実際のオペレーションや起こり得るトラブルを想定したうえで定めることが大切です。

取引や業務の手順が正しく表現されているか、トラブルを処理する際のルールは明確か、自社にとって不当に不利な条項が含まれていないかなどを、常に取引の実態を念頭に置きつつ慎重に確認しましょう。

締結権限の確認

契約書への調印を行う者は、当事者である会社の代表権または代理権を有していなければなりません

特に相手方については、権限ある者が調印することを確認することが推奨されます。商業登記簿謄本の代表者事項を確認する、代表者以外の者が調印する場合は権限付与の書面を確認するなどの対応を検討しましょう。

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変更時における関連契約の確認

契約内容を変更する際には、関連する他の契約への影響も検討する必要があります。契約相互間で影響が生じ得るときは、複数の契約を同時に変更するなどの対応を検討しなければなりません。 

契約相互間の影響を漏れなく検討するためには、締結済みの契約書をきちんと整理し、相互参照ができるような形で保存することが重要です。電子契約については、電子契約サービスの機能が役に立ちます。

契約情報の漏えい防止

契約書の記載には、営業秘密などの重要な情報が含まれています。そのため、契約書の不正な持ち出しや意図せぬ流出などを防がなければなりません。 

紙の契約書は鍵のかかるキャビネットで保管する、電子契約ファイルは閲覧できる人を最小限に絞ったうえでパスワードを付すなど、契約書の漏えい防止対策を徹底しましょう。

契約についてよくある質問

契約書を作成しなくても、契約は成立する?

契約は当事者の合意によって成立し、原則としてその形式は問われません。したがって一部の例外を除き、契約書を作成しなくても契約は成立します。ただし口頭だけで契約を締結すると、契約の成立や内容が不明確となり、トラブルの原因になりやすいので注意が必要です。

契約を一方的に終了させることはできる?

契約上の中途解約規定や解除規定に従う場合、相手方の債務不履行を理由に解除する場合、法律上の規定に基づいて取り消す場合などには、契約を一方的に終了させることができます。

「LegalOn」で契約審査を効率化・高品質化

契約の成立条件やリスクの見極めには専門知識が必要であり、担当者の経験によって審査の質にばらつきが生じやすいという課題があります。「LegalOn」の「レビュー」機能を使うと、契約書をアップロードするだけで論点やリスクを数秒で自動抽出できます。さらに、自社の審査基準を「プレイブック」として登録・運用することで、自社固有の事情を踏まえたAIレビューも可能になります。契約審査の属人化に課題を感じている場合は、実際の機能を資料で確認してみてください。

 

まとめ

契約は、当事者の合意によって権利・義務を発生させる法律行為です。企業は事業内容に応じて、さまざまな種類の契約を締結します。

不本意なリスクを負わないようにするためには、締結前に契約内容をよく確認することが大切です。また、契約の成立や内容を明確にするため、必ず契約書などの書面を作成しましょう。

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