取締役会DXで変わること
取締役会をDXするとはどういうことか
取締役会DXとは、招集通知の作成から資料配布、決議、議事録作成、決議後のタスク管理までの業務をデジタル化し、かつひとつの仕組みとして再設計することです。
これにより、事務局側では作業量の削減や決議後タスクの可視化が期待できます。さらに、監査対応の際には証跡をすぐに提示できる状態を維持しやすくなりますし、役員側にとっても、場所を問わず資料を確認し、決議に参加できる環境が整うというメリットがあります。
取締役会DXとIT化の違い
DXとIT化は、業務をデジタル化するという点では似ていますが、対象とする範囲が異なります。IT化は既存の業務を個別にデジタルツールへ置き換えることを指すのに対し、取締役会DXは、招集から決議、議事録、事後タスクまでを横断的に一つの仕組みとして再設計することを指します。
メールでの資料送付、オンラインストレージでの共有、押印書類のスキャン保存など、業務の一部をデジタルツールに置き換える取り組みは、多くの企業ですでに行われています。ただし、これらが個別業務の置き換えにとどまっている限り、IT化の段階であり、取締役会DXとは異なる状態です。自社のDXの試みが単なるIT化にとどまっていないかは、注意すべき点です。
取締役会DXで効率化できる業務
取締役会運営に関わる業務は、大きく以下のような3つの領域に整理できます。これらを一連の流れとして接続することで、取締役会関連業務の効率化は実現できます。
- 招集通知と会議資料の配布:招集通知の作成・送付、出欠管理、資料集(いわゆる「Meeting Book」)の共有です。
- 決議・承認のプロセス:定型的な決議事項の承認や署名をオンライン上で完結させ、電子署名サービスと連携できれば書面での押印・郵送を省略できます。
- 議事録の作成と決議後のタスク管理:議事録作成を効率化するほか、決議事項に紐づくタスクの担当者設定・期限管理・履行証跡の保存まで一元的に扱えます。
取締役会DXを進める5つのステップ
1. 現状の運用と課題を洗い出す
招集通知の発送期限など会社法上の手続要件を整理したうえで、現行運用のどこにリスクや負担が集中しているかを棚卸しします。事務局側の作業時間だけでなく、役員が資料を確認するまでのタイムラグや、監査時に証跡をすぐ提示できるかどうかも合わせて確認しておくと、後工程の優先順位付けがしやすくなります。
2. 電子化する業務範囲の優先順位を整理する
関連業務のうち、自社にとって負担が大きい業務から優先的に着手します。たとえば資料の差し替え対応に時間を取られているなら招集・配布から、決議後のタスク管理が属人化しているなら議事録・タスク管理から着手するなど、課題の所在に応じて優先順位を変えます。
3. ツールを選定する
社外役員や監査役会など、社内外の関係者のITリテラシーの差も考慮したうえで検討します。ツールの選定には、大きな方向性として汎用ツールの組み合わせで対応するか、専用ツールを導入するかという選択肢があります。
4. 一部の会議体からトライアル運用を行う
取締役会は重要な意思決定機関であるため、いきなり全社的に切り替えるのではなく、臨時の会議体や一部の委員会など、影響範囲を限定して試します。トライアル期間中に、運用ルールの過不足や役員側の操作面での懸念を洗い出しておくと、本導入後の混乱を防ぎやすくなります。
5. 本導入し、運用を定着させる
トライアルで見えた課題を踏まえ、正式な運営規程への反映も含めて定着を図ります。事務局内の運用マニュアル整備や、役員向けの操作説明の機会を設けることも、定着を後押しする要素です。
取締役会DXのツールの選択肢
取締役会DXの進め方には、大きく分けて汎用ツールで進める方法と、専用ツールで進める方法の2つの選択肢があります。
汎用ツールによる取締役会DX
Google WorkspaceやMicrosoft 365など、既存の汎用オフィスツールを組み合わせて対応する方法です。資料共有、議事録作成、タスク管理など取締役会関連業務の大部分を多くの企業が導入済みの既存ツールでDXできるため、追加コストを抑えやすい点がメリットです。一方で、決議ワークフローの承認経路や証跡の集約など、各業務を別のツールをまたいで手動で管理することになり、担当者の負担は後述する専用ツールによるDXに比べて重くなりがちです。さらに、DX導入時は運用ルールの設計や開発を自社で担う必要があります。会議体や委員会の数が多い企業ほど、この分散管理の負荷が大きくなる傾向があります。
専用ツールによる取締役会DX
国内では、取締役会運営に特化したサービスがいくつか提供されています。
専用ツールでは、招集通知の作成から決議、議事録、事後タスクまでを一つのプラットフォーム上で管理できるため、証跡が分散しにくく、監査対応時にも情報をまとめて提示しやすくなります。汎用ツールのみでもある程度の電子化は可能ですが、決議ワークフローの一元管理や監査証跡の集約といった点では、専用ツールと比べて運用のハードルが上がりやすいです。
取締役会DXに関するよくある質問
Q. グループ会社が複数ある場合、取締役会DXはどのように進めればよいですか?
各社の会議体運営状況を横断的に把握できる仕組みが求められます。具体的には、親会社側で子会社ごとの開催状況・決議事項・議事録の有無を一覧化できるダッシュボードを用意する、各社共通のテンプレートやワークフローを整備して運用のばらつきを抑える、といった対応が考えられます。子会社ごとに個別のツールや運用ルールが乱立している場合は、まず数社でテンプレートを統一するところから始めると、全体展開時の混乱を抑えやすくなります。
Q. 電子化した場合でも、書面の議事録を別途保管する必要はありますか?
会社法上の議事録保存義務との関係については、電子データでの保存が認められる場合と、個別事情に応じた確認が必要となる場合があります。電子署名・タイムスタンプの要件を満たした形でデータを保存できているか、社内の文書管理規程が電子データでの保存に対応した内容になっているかを、あわせて確認しておくことをおすすめします。
「GovernOn」による取締役会DXの実現
取締役会DXを進めるうえでの課題は、招集通知の作成・配布、決議、議事録作成、事後のタスク管理が別々の手段で管理され、事務局側の負担や証跡の分散を招きやすい点にあります。
「GovernOn」は、招集通知の作成から出欠・資料共有、決議ワークフロー、議事録・タスク管理までを一つの基盤上で一元管理できるAIコーポレートガバナンスプラットフォームです。招集から事後対応までを一つの仕組みとして運用したい企業にとって、選択肢の一つとなります。
まとめ
取締役会DXとは、招集通知の作成から決議、議事録作成、決議後のタスク管理までを、単発の電子化ではなく一つの仕組みとして再設計する取り組みです。業務を横断的に一元管理できているかどうかが、取締役会DXとIT化を分ける境目になります。まずは自社の現状運用を棚卸しし、どこに負担やリスクが残っているかを確認するところから始めてみてください。
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