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社内外の法務案件をLegalOnで一元管理 過去の判断も外部法律事務所の知見も組織の資産に

社内外の法務案件をLegalOnで一元管理 過去の判断も外部法律事務所の知見も組織の資産に

LegalOn 不動産

伊藤忠リート・マネジメント株式会社

コンプライアンス・リスクマネジメント室 室長/弁護士 小泉 敬太郎 様 経営管理部 部長 信國 太郎 様

POINT
  • 法務課題:実質2名体制で年間約300件の審査を担う中での案件進捗の把握の難しさ、ツールの分散に伴うナレッジ共有・蓄積の不足

  • 導入経緯:既存フローを変更せず、メール連携のみで社内外の案件を一元管理・ナレッジ化できる「マターマネジメント」の仕様を評価

  • 導入効果:導入3カ月で約120件の審査対応を可視化、専用フォームによる受付工数の削減、および比較機能を用いた最終版照合によるミス・修正漏れの防止

  • 活用事例:「マターマネジメント」による外部法律事務所とのやり取りの一元管理、「Wordアドイン」での修正案作成、および「LegalOnアシスタント」による過去ナレッジの自然言語検索

賃貸住宅特化型J-REITであるアドバンス・レジデンス投資法人などの運用を手掛ける総合資産運用会社、伊藤忠リート・マネジメント株式会社。少人数の法務体制のなか、案件管理の煩雑さやナレッジの共有に課題を抱えていた同社は、2026年3月に法務向けProfessional AI「LegalOn」を本格導入しました。現在は「マターマネジメント」「レビュー」「LegalOnアシスタント」を活用し、外部法律事務所とのやり取りを含む案件の一元管理、契約審査の効率化、ガバナンス強化を進めています。導入の背景や具体的な活用方法、成果について、弁護士でコンプライアンス・リスクマネジメント室長の小泉敬太郎様と、経営管理部長の信國太郎様に話を伺いました。

年間約300件の契約審査を担う少数精鋭の法務体制

コンプライアンス・リスクマネジメント室 小泉敬太郎様

御社の事業内容をお聞かせください。

小泉様 当社は、不動産金融業界において、「アドバンス」ブランドの賃貸住宅特化型J-REITや総合型私募REITの運用、私募ファンドのアセットマネジメント業務など、多様な不動産関連資産の運用を手掛けています。

法務部門の体制やメンバーのバックグラウンドについて教えてください。

小泉様 当社には独立した法務部がなく、コンプライアンス部門が法務機能を担っています。執行役員のコンプライアンス・オフィサー(以下、CO)が1名、コンプライアンス・リスクマネジメント室に私を含むメンバー2名が所属する、計3名の体制です。

COも実務に深く関わっており、法務・契約審査は主に私とCOの2名で対応しています。

日常的な契約審査・法務相談業務のボリュームや業界特有の論点について教えてください。 

小泉様 業務は大きく「契約審査」と「法務相談」の2つに分かれます。契約審査は年間約300件、法務相談は月10件程度です。法務相談の中には、新規事業に関するものなどもあり、案件数だけでは測れない部分もあります。

取り扱う契約書は、不動産売買契約、信託受益権売買契約、賃貸借契約、MLPM(マスターリース・プロパティマネジメント)契約などが中心です。私募ファンドではローン契約、出資契約、AM(アセットマネジメント)契約なども扱います。また、業界の特性上、NDA(秘密保持契約)の取り扱いも多くなっています。 

ファンドビジネスにおける不動産売買契約は、一般的な不動産売買契約よりも複雑で、かつ、表明保証や契約不適合責任の範囲など、細かな調整が必要です。また、双方が法務の専門家を起用して交渉することも多く、一言一句を精査し、何度も修正を重ねます。

信國様 投資家の皆さまからお預かりした大切な資金で不動産を売買する以上、ミスは許されません。また、不動産には同じものが2つとないため、物件ごとに契約書の文言を精緻に組み立てる必要があります。そのため、契約審査には多大な時間と労力がかかるのです。

社内外の案件を集約し、過去の知見を組織の資産に

経営管理部 信國太郎様

LegalOnの導入前、どのような課題を抱えていましたか。

小泉様 導入前は社内グループウェアを使い、チャット形式で相談や審査依頼を受け付けていました。案件数が少なければ問題ありませんが、月に何十件も依頼が寄せられると、進捗管理が難しくなるという課題がありました。

また、ファンドごとに担当者が異なるため、過去に回答した内容と同じ質問が別の担当者から寄せられることもありました。ナレッジが十分に蓄積・共有されず、過去の知見を生かしきれない点も課題でした。

さらに当社では、コンプライアンス・リスクマネジメント室が受け付ける案件だけでなく、営業担当者が外部の法律事務所に直接依頼する案件も多数あります。従来は、外部への依頼にOutlook、社内からの相談にはチャットやTeamsを使うなどツールが分散しており、案件全体の進捗やナレッジを把握しきれない状態でした。

数あるツールの中から、LegalOnを選んだ決め手は何でしたか。

小泉様 最大の決め手は、「マターマネジメント」によって、営業担当者や外部法律事務所の既存の運用を変えずに、社内外の案件を一元管理し、ナレッジ化できる点でした。

当社のコンプライアンス部門のグループアドレスにLegalOnの案件受付用メールアドレスを登録することで、営業担当者と外部法律事務所とのメールのやり取りが自動的にLegalOnへ蓄積されます。外部の法律事務所にIDを付与したり、新しいシステムを使ってもらったりする必要がなく、自社側の設定だけで完結する構造が当社に適していました。

LegalOnのUI画像_マターマネジメントタイムライン

「マターマネジメント」のタイムラインでは、案件に関するやり取りや更新情報を一元管理できます。案件受付用のメールアドレスを設定でき、そのメールアドレスに送られたメールは全てLegalOn上の案件に紐づけられ、経緯や添付ファイルがタイムラインに蓄積されます。(※ 画像はイメージです)

また、導入後3カ月で、約120件の契約審査手続をLegalOn上で行い、その後も毎月30件程度の利用がありますが、こうした対応件数が可視化できる点も利点です。

「レビュー」や「LegalOnアシスタント」などの個別機能には、どのような期待がありましたか。

小泉様 「レビュー」には、業務効率化に加え、将来的な組織拡大を見据えた若手の教育・サポートツールとしての役割も期待していました。当初は、不動産金融特有の複雑な契約にどこまで対応できるのか、半信半疑な面もありました。しかし、AIの進化への期待に加え、信國から「まずはチャレンジしてみるべきだ」と背中を押されたことも、導入の大きな後押しになりました。

「LegalOnアシスタント」については、社内に蓄積された1万件以上の締結済み契約書を有効活用する狙いがありました。これらの契約書は、外部専門家の法務的見解を経た質の高いナレッジです。過去の事例や判断理由をAIへの自然言語による問い合わせで素早く検索・参照できる点に大きな魅力を感じ、導入を決めました。 

最終版との照合を仕組み化し、契約管理の精度を高める

導入から本格運用までのスケジュールと、社内への浸透に向けた工夫を教えてください。

小泉様 2025年10月に無料トライアルで検証を行い、同年12月に試験導入、2026年3月に本格導入を決めました。現場への浸透に向けては、案件として多い「秘密保持契約」「契約書」「法律相談」の3つに関して依頼フォームを設計、記入してほしい項目を明示することで、情報の抜け漏れによるヒアリングの発生を抑えるなどして依頼側の負荷を軽減しました。

信國様 LegalOnの担当の方が伴走して手厚くサポートしてくれたことも大きかったです。メール連携の設定など、導入時にスムーズに進まない部分があっても、諦めずに何度も最適な提案をしてくれました。私はシステムの人間ですが、導入作業にはほとんど関わっていません。専門家不在でも運用を軌道に乗せられたのは、こうしたサポートのおかげだと感謝しています。

導入後、申請フローや契約の最終チェック体制はどのように変化しましたか。

小泉様 社内からの依頼フローは、専用の案件受付フォームを設けたことで、必要な情報を漏れなく収集できるようになり、追加のヒアリングにかかる手間が減りました。また、外部への依頼も社内相談も、最終的なやり取りは使い慣れたOutlookに集約されたため、営業担当者の利便性を損なわずに運用できていると考えています。

契約の最終チェック体制も大きく変わりました。決裁のワークフローに上がってきたファイルが、コンプライアンス・リスクマネジメント室で確認した最終版と一致しているかを、LegalOnの比較機能で確認しています。

以前は担当者同士の信頼関係を前提に目視で確認していました。しかし、現在はファイルをLegalOnに読み込ませるだけで、変更箇所の有無をすぐに判別できます。担当者が誤ったファイルを添付したり、言い忘れたまま契約書に手を加えてしまっていたりしてもすぐそれに気づけますし、ミスを指摘すれば担当者も以後気をつけてくれるようになります。

Word上で修正案を生成、過去の判断根拠も即座に検索 

LegalOnを実際に使う中で、特に便利だと感じる機能はありますか。 

小泉様 特に便利なのは、契約書の作成・編集で日常的に使うWord上からLegalOnの機能を利用できる「Wordアドイン」です。これは大変画期的な機能で、追加後はレビュー機能の使い勝手が大幅に向上しました。使い慣れたWordの画面右側にAIアシスタントを表示できるため、非常に重宝しています。

具体的には、文章校正のほか、相手方へのコメントバックに使う修正案の作成にも活用しています。従来はゼロから考えていた修正案も、AIアシスタントに相談すれば80点程度のたたき台をすぐに提示してくれます。ボタン一つで生成された修正案を変更履歴付きでWord本文に直接反映できるので、コメントバックや修正作業をとても効率化できています。スピード感が求められるやり取りでも、細かな日本語の言い回しや文書校正の確認を考える時間が減り、素早く回答ができるようになりました。

また、一般的な汎用AIと比べて法務に特化しているため、アウトプットの精度にも満足しています。

使い慣れたWord上でLegalOnを利用できる「Wordアドイン」。契約書をWordで編集しながら、「契約リスクチェック」「法令遵守チェック」「校正」などを実行でき、レビュー結果を確認しながら効率的に契約審査を進められます。(※ 画像はイメージです)

過去の判断理由やナレッジを探す際、「LegalOnアシスタント」はどのように役立っていますか。

小泉様 「LegalOnアシスタント」の導入により、ナレッジを探す手間が大幅に減りました。以前は「過去に似た相談がなかったか」と記憶をたどりながらフォルダを探し回っていましたが、現在は「LegalOnアシスタント」に「過去にこういうことが問題となった案件は何だっけ」と曖昧な記憶で聞くだけで探し出せます。物件や相手方の情報など、手がかりが一つでもあれば、引っ張ってきてくれるので、過去の判断理由を素早く確認できるようになり、業務スピードの向上につながっています。

LegalOnのUI画像_LOアシスタントチャットwebサーチの例

法務特化型のAIアシスタントである「LegalOnアシスタント」。今審査している案件に類似した過去案件を自然な文章で検索するなど、業務に寄り添った形で生成AIを活用できます。(※ 画像はイメージです)

営業部門の一次審査を見据え「プレイブック」を整備 

今後、LegalOnを活用してどのような体制構築や業務改善を目指していますか。

小泉様 現在は、過去の契約書やナレッジをもとに「プレイブック」の整備を目指しています。完成後は、営業部門の担当者がプレイブックを使って一次審査を行い、条件に合わない案件や判断に迷う論点についてはコンプライアンス・リスクマネジメント室に相談する体制を構築したいと考えています。

また、「マターマネジメント」では受付フォームごとに担当者を設定できるため、将来、新しい法務担当者が入社した際にも、まずは難易度の高くない秘密保持契約から担当してもらうなど、段階的な育成に活用したいと考えています。「レビュー」も解説や判断理由まで表示されるため、法務初学者が学び、自社の審査方針を身に付けるためのツールとしても期待しています。

さらに、案件受付メールアドレスを複数使えるようになったことから、部署間のウォール(情報を部署間で見せないようにする仕組み)を立てやすくなりました。今後は、営業担当者にIDを付与し、営業担当者が初期的にLegalOnで契約書レビューなどを行うことも検討していく予定です。

LegalOnをどのような企業・法務部門におすすめしたいですか。

小泉様 不動産金融業界では、少ない人数でどれだけの資産規模を運用しているか(1人当たりのAUM(運用資産残高))が重視される面もあるため、人員を絞る傾向があります。しかし、人員を削減するほど業務のバッファがなくなり、「新しいことに取り組む時間がない」という悪循環に陥ってしまいます。

多忙を極める企業ほど、こうしたツールを早い段階から活用すべきだと思います。最初から完璧を目指すのではなく、まずは使ってみて、試行錯誤を重ねることが大切だと感じています。

信國様 導入当初はAI製品に対して半信半疑な声もありましたが、アップデートを重ねるごとに、当初思い描いていた理想的な法務AIの姿が現実になってきたと実感しています。人手不足に悩む企業ほど、一歩踏み出して導入する価値は十分にあると感じています。

(取材日:2026年9月)※掲載内容は取材当時のものです。