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日本では当たり前の「反社条項」が通用しない!? 中国・タイ・ベトナムにおける考え方

日本では当たり前の「反社条項」が通用しない!? 中国・タイ・ベトナムにおける考え方
この記事を読んでわかること
    • 日本で慣習化している反社会勢力排除条項が、海外では必ずしも「当然」ではないこと
    • 韓国では反社排除がAML・CFT・制裁対応と結びついて実務運用されている点
    • 中国では反社排除条項が制度的背景から違和感を持たれ、削除を求められることがある点
    • タイ・ベトナムでは指定暴力団の概念がなく、条項自体が一般的ではないという点
    • 海外取引において、日本の常識をそのまま持ち込むことのリスクと調整の視点

反社条項、いわゆる暴力団等の反社会的勢力を取引から排除するための条項は、日本の契約実務では「入っていて当然」の存在です。どの契約書にも当たり前のように盛り込まれており、意識せずに目にしている方も多いのではないでしょうか。また、近年は反社会的勢力への対応が一層厳しくなっていることも、ニュースなどを通じて広く知られています。

こうした日本の感覚を前提にすると、海外取引においても日本と同様に反社会的勢力を排除する条項を入れておくことが当然であると考えてしまいます。しかし実務上は、日本の契約書と同様の反社会的勢力排除条項をそのまま盛り込んでも、必ずしも同じ効果が期待できるとは限りません。場合によっては、条項そのものの記載を拒まれることすらあります。

本稿では、日本企業にとって取引機会の多い韓国・中国・タイ・ベトナムの企業と契約を締結する場面を題材に、これらの国との取引において反社会的勢力排除条項をどのように考え、どのように規定すべきかという点を簡潔に説明します。


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山本 大輔
執筆

山本 大輔

One Asia法律事務所ハノイオフィス代表/日本法弁護士

弁護士登録後に大江橋法律事務所(東京事務所)での勤務、アメリカでのロースクール留学・法律事務所研修を経て、2024年よりベトナムに移住し、One Asia法律事務所ハノイ・ホーチミンオフィスにて勤務。ベトナム現地子会社のコーポレート、契約書交渉、M&A、内部監査、労働、紛争解決を含めた幅広い業務に従事している。

楠 悠冴
執筆

楠 悠冴

One Asia法律事務所東京事務所/日本法弁護士

2023年3月に関西学院大学法科大学院を修了し、同年7月の司法試験に合格。2024年3月からの司法修習を経て、2025年に弁護士登録(第一東京弁護士会)。同年4月よりOne Asia法律事務所(東京)に入所し、国内の訴訟・企業法務案件からクロスボーダー案件まで幅広く取り扱う。

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1 韓国

1.1 日本と類似の考え方

韓国でも、日本と同様に反社会的勢力や犯罪組織との関係遮断を契約上明示することは一般的です。

特に近年は、暴力団等に限らず、テロ資金供与防止(CFT)・マネーロンダリング対策(AML)・国際制裁遵守(Sanctions Compliance)の観点から、「制裁リスト対象者(sanctioned persons)」を含めた広範な概念(Prohibited Persons)として定義する実務が増えています。

韓国では、金融取引法・特定金融情報法(特定金融取引情報の報告及び利用等に関する法律)に基づき、企業がテロ組織・北朝鮮関連団体・国連制裁対象者との取引を禁止・報告対象とする義務を負うため、この種の表明保証条項をNDAや業務委託契約、取引基本契約にも導入することが推奨されます。

1.2 交渉の考え方

反社会的勢力や制裁対象者との関与排除を契約上明示することで、将来、相手方が犯罪組織・制裁対象者と判明した場合に即時解除できる法的根拠を確保できます。

また、韓国企業との交渉においても、このような条項は既に広く受け入れられており、「暴力団排除」よりも「犯罪・テロ・制裁対象排除」という広義の定義を採用することで、国際取引上のコンプライアンス要請にも整合する内容となります。

2 中国

2.1 反社会的勢力の排除条項は不要

中国における企業は、日本のような準則主義(登記すれば設立する)ではなく、設立要件を充足しているかどうかを政府当局が審査し、批准を得て、工商行政管理局で登記をして設立されるため、日本で存在するいわゆる「フロント企業」は存在しえないとされています。

実務上も、中国の企業にとって、反社会的勢力の排除条項はかなり違和感がありますので、削除することをお勧めします

2.2 反賄賂条項の設置

一方で、中国では2025年10月15日より改正不正競争防止法が施行され、商業賄賂規制の適用範囲拡大、域外適用、罰則強化などが図られています。こうした状況にあることから、契約書には反賄賂条項を付記することが推奨されます。以下、反賄賂条項の参考例です。


(Anti-Bribery)

Each party represents and warrants that, to the best of its knowledge, neither it nor any of its subsidiaries, affiliates, or agents, nor any of their respective directors, officers, or employees, has, directly or indirectly, offered, paid, given, or authorized the offer or payment of any illegal bribe, rebate, improper influence payment, kickback, donation, or any other payment or act in violation of the Penal Code, the Unfair Competition Prevention Act, or any other applicable anti-corruption or criminal laws that are applicable to such Party or any of the foregoing persons or entities, and that neither it nor any of the foregoing persons or entities is currently subject to any investigation by any governmental authority for any violation of law.


3. タイ

3.1 シンプルな反社会的勢力の排除条項を記載する

タイには指定暴力団などがないため、反社会的勢力の排除条項は一般的ではありません。そのため、ローカル企業から当該条項の追加を拒否されるケースがあります。

反社会的勢力の排除を徹底するため、日本と同様「反社会的勢力ではないこと」「反社会的勢力と取引しないこと」を定める場合があります。ただし、タイは日本のように指定暴力団などがないため、日本での規定に比べシンプルなものになることが多いです(反社会的勢力の排除条項の参考例)。

3.2 交渉の考え方

反社会的勢力の排除を徹底するため、反社会的勢力の排除条項の追加をして交渉をすることもあります。

ただし、タイ国内ではこのような規定の定めはまだ一般的とはいえず、タイローカル企業からこのような条項の追加について拒否される可能性はあります。

4 ベトナム

4.1 シンプルな反社会的勢力の排除条項を記載する

ベトナムにおいても、タイと同様、反社会的勢力排除の条項は一般的ではありません。そのため、当該条項の追加を拒否される可能性があります。

もっとも、マフィアや窃盗団という存在もあるため、反社会的勢力の排除の徹底のために、反社会的勢力の排除条項の追加をして交渉をすることも可能です。

4.2 マネロン防止法対策

一方で、ベトナムにおいては、2022年にマネーロンダリング防止法が成立し、2023年3月1日より施行されています。そして、同法の施行以降、国境を越えたマネーロンダリングの事件がいくつも摘発されている現状があります。 

そのため、同法の対象となっている、ベトナムの金融機関、カジノ・宝くじ・オンラインゲーム企業、不動産ビジネスに関する企業、会計・法律サービスを提供する企業等が取引を行う際には、相手方企業が、ベトナム国籍か、外国人(単一国籍/複数国籍)か、無国籍者か、個人か法人かといった点などの確認をする必要があります(いわゆるKYC情報)。

また、この顧客確認については、取引関係が存続する期間中は、顧客識別情報を定期的に更新しなければならないともされています。したがって、日本企業としては、これらの情報の提供を求められる可能性がある点にご留意ください。

5 法務AI「LegalOn」による海外契約のリスク管理

アジア各国との契約において、相手国の準拠法や商慣習に則った契約を適切に締結することは非常に困難です。世界水準の法務AI「LegalOn」は、日本語・英語をはじめ30以上の言語に対応し、契約書の翻訳や契約書情報の言語設定が可能。また、日本語のプレイブックを利用して多言語の契約書のAIレビューを実行、修正文案も多言語で作成することができます。必要条項の抜け漏れや、翻訳によるニュアンスの差異を迅速に検知することで、海外取引における法的リスクを最小限に抑えることが可能です。

LegalOn製品の詳細は、ぜひ以下よりダウンロードできる資料をご確認ください。

6 終わりに

以上のとおり、日本の契約実務と同じ感覚で反社会的勢力の排除条項を規定したとしても、海外取引においては、日本で想定している効果が必ずしも得られなかったり、交渉で削除を求められたりすることがあることを念頭に置いていただければ何よりです。

参考:反社会的勢力の排除条項の条文例


(Exclusion of Anti-Social Forces) 

1. Each party represents and warrants that neither it nor any of its officers (meaning directors, company auditors, executive officers, and any other persons equivalent thereto) is or will be an organized crime group, member of an organized crime group, person for whom five (5) years have not yet passed since the person ceased to be a member of an organized crime group, quasi-member of an organized crime group, business affiliated with an organized crime group, corporate racketeer, etc., group engaging in criminal activities under the pretext of conducting social campaigns, etc., crime group specialized in intellectual crimes, etc., or any other person or group equivalent thereto (hereinafter collectively referred to as "Anti-Social Forces") and that neither it nor any of its officers has or will have any of the following relationships with any Anti-Social Force: 

(1) A relationship that shows any Anti-Social Force's substantial 

involvement in its management;  

(2) A relationship that shows reliance on any Anti-Social Force 

(3) A relationship that shows involvement with any Anti-Social Force, 

such as provision of funds, benefits, or services 

(4) A socially condemnable relationship 


2. Each party warrants that it will not engage in any of the following acts, itself or through a third party: 

(1) Act of making a demand with violence 

(2) An act of making unreasonable demand beyond its legal entitlement 

(3) An act of using intimidation or violence 

(4) An act of defaming the reputation of the other party or interfering with the business of the other party by spreading rumor, using fraudulent  means or resorting to force 

(5) Any other act equivalent to the acts stipulated in the preceding items


3. Each party can terminate this agreement, etc. without any notice to the other party, in the event that the other party violates any one of the items of the preceding first or second paragraph.


4. Each party confirms that it shall not be liable for any damages incurred by the other party in the event that each party terminates this agreement pursuant to the preceding paragraph.


(執筆日:2026年2月)※掲載内容は執筆当時のものです。


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