AIコントラクトマネジメント(AI契約管理)とは
コントラクトマネジメントとは、契約の起案・締結から、その後の履行、更新・終了に至るまでの工程を管理する仕組みを指します。日本語では契約管理、契約書管理と訳されますが、国内では主に「締結後の保管や更新期限の把握」を指すのが一般的です。
AIコントラクトマネジメントは、こうした一連の業務にAIを活用し、高度かつ効率的に運用する仕組みを指します。AIコントラクトマネジメントでは、契約書をアップロードすると、AIが自動的に契約書名や取引先名、契約締結日、終了日といった情報を読み取り、管理台帳に登録します。更新期限が近づくと自動で通知されるため、期限漏れを防げます。
従来は法務担当者が手作業で行っていた情報の入力や期限の確認といった作業を自動化でき、契約書の検索も瞬時に行えるため、業務時間の大幅な削減が可能です。
従来の契約管理との違い
従来の契約管理では、Excelなどに契約情報を手作業で入力し、紙の契約書を保管する方法が一般的でした。契約書が増えるにつれて情報の入力に時間がかかり、誤入力や記入漏れが発生しやすい状況でした。更新期限の管理も担当者が目視で確認する必要があり、期限を見落として不要な自動更新が発生するケースも少なくありません。
また、従来の契約管理システム(AI非搭載)を導入していても、契約書の情報は担当者が手動で台帳に入力する必要があり、期限の確認も目視で行う必要があります。
AIを活用した契約管理では、これらの作業を自動化できます。契約書をアップロードするだけで情報が抽出され、期限も自動で計算されるため、手作業による負担を軽減し、ヒューマンエラーの抑制に寄与します。
契約管理における課題
契約書の管理が適切に行われていないと、業務が停滞したり法的なトラブルに発展したりします。ここでは契約管理で起こりがちな課題を解説します。
契約書が部署ごとに散逸し必要な時に見つからない
契約書を営業部や総務部など各部署で個別に管理している場合、保管場所や管理方法が統一されず、必要な契約書の所在が分からなくなる問題が起こります。
また、部署ごとに異なるファイリング方法や保管ルールを採用していると、同じ取引先との契約でも複数の場所に分散して保管される状況が生じます。取引先からの問い合わせに対応する際、該当する契約書を探し出すまでに長い時間を要してしまいます。
更新期限を見落とし自動更新や契約失効が発生する
契約書の有効期限や更新通知期限を手作業で管理している場合、担当者の確認漏れによって更新時期を逃してしまう問題が発生します。
特に自動更新条項がある契約では、解約通知の期限を過ぎると不要な契約が自動的に継続され、想定外のコストが発生します。また、業務量が増加する繁忙期には、期限管理の確認作業が後回しにされやすく、ミスや漏れのリスクが高まります。
Excelの管理台帳では管理項目が増えると対応しきれない
Excelで契約管理台帳を作成している場合、管理する契約書の数や項目が増えるとファイルの動作が遅くなり、業務効率が低下します。
さらに、手作業での情報入力には人為的なミスが避けられず、契約の締結と台帳への入力にタイムラグがあるため、リアルタイムでの状況把握が困難です。また、ファイルサーバー管理では複数のユーザーが同時に編集できないため、チーム全体での情報共有がスムーズに進みません。クラウド等で同時編集を行う場合も、誤入力の履歴追跡が難しく、データ破損のリスクが伴います。権限設定も細かく行えないため、機密情報の管理にも不安が残ります。
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属人化した契約情報が引き継げない
契約の交渉経緯や取引先との口頭での合意事項など、重要な情報が担当者の記憶やローカルフォルダなどにのみ存在している状態は、業務の属人化を招きます。
担当者が異動や退職する際、引き継ぎ資料が十分に整備されていないと、後任者は過去の契約内容や交渉履歴を把握できません。前任者に連絡が取れたとしても、過去の業務内容を明確に覚えている保証はなく、引き継ぎの質が低下します。
契約の作成から管理まで部門ごとにシステムがバラバラで非効率
契約書の作成は各事業部、レビューは法務部、管理は総務部というように、各プロセスで異なるツールやシステムを使用していると、情報の分断が生じます。
部門間で使用するシステムが統一されていないため、契約書のドラフトや修正履歴、承認フローが一元管理できず、案件の進捗状況を把握するために複数のシステムを確認する手間が発生します。データの二重入力も必要となり、作業負担が増大します。
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契約の履行状況や義務の進捗を追跡できない
契約を締結した後、契約で定められた義務や納期が適切に履行されているかを追跡する仕組みがないと、契約違反のリスクが高まります。
納品期限や支払条件、報告義務など、契約に記載された各種の義務について、その進捗状況を組織的に管理していないと、履行漏れが発生しやすくなります。特に長期契約や複数の義務が含まれる契約では、どの義務がどこまで履行されたかを把握することが困難です。
AIコントラクトマネジメントツールの主要機能
AIコントラクトマネジメントツールは、契約書の取り込みから検索、期限管理まで幅広い機能で法務業務を効率化します。
契約書の一元管理と自動取り込み
紙の契約書と電子契約を区別することなく一箇所で管理できます。電子契約サービスと連携すれば、締結済みの契約書を自動でシステムに取り込めるため、手作業での登録が不要です。
紙で締結した契約書はスキャンしてアップロードすることで、電子契約と同じように管理できます。複数の電子契約サービスを利用している企業でも、すべての契約書をひとつのシステムに集約可能です。保管場所が分散していると必要な契約書を探すのに時間がかかりますが、一元管理により検索性が向上し業務効率が高まります。
横断検索・全文検索で瞬時に契約書を特定
契約書が増えると目的の書類を探すのに時間がかかりますが、AIコントラクトマネジメントツールなら横断検索や全文検索で瞬時に特定できます。取引先名や契約日といった基本項目だけでなく、契約書の本文に含まれるキーワードからも検索が可能です。
更新期日の自動計算とアラート通知
契約の更新期限を手作業で管理すると漏れが発生しやすく、不要な自動更新や契約終了のリスクがあります。AIコントラクトマネジメントは契約書から自動更新の有無や期間を読み取り、更新期日を自動で計算します。
設定した日数前になるとメールやシステム上でアラート通知が届くため、更新判断のタイミングを逃しません。自動更新の契約では更新拒絶期限も自動計算され、適切なタイミングで通知されます。担当者だけでなく管理者にも通知できるため、組織全体で期限を把握できます。
関連契約書の紐づけ
企業の契約の多くは単独で存在することは少なく、基本契約と個別契約、原契約と変更契約といった形で関連する書類が複数存在します。AIコントラクトマネジメントはこれらの関連契約書を紐づけて管理できる機能を備えています。
紐づけにより、ある契約書を確認する際に関連する契約内容もすぐに参照できるため、契約の全体像を正確に把握できます。契約書をアップロードする際にAIが関連する可能性のある契約書を提案してくれるシステムもあり、手動で紐づけを探す手間が省けます。
契約管理台帳の自動作成
従来は契約書の情報を手作業でExcel台帳やシステムに入力する必要がありましたが、AIコントラクトマネジメントなら自動で管理台帳を作成できます。契約書をアップロードするとAIが契約書名、取引先企業名、契約開始日、終了日、自動更新の有無、取引金額といった項目を自動で読み取り台帳に反映します。
入力作業の時間が大幅に削減されるだけでなく、転記ミスもなくなります。台帳の検索項目は電子帳簿保存法の要件にも対応しているため、監査対応もスムーズです。必要に応じて台帳をExcel形式でダウンロードすることも可能で、既存の業務フローとの連携も容易です。
AIコントラクトマネジメントツールの選び方
AIコントラクトマネジメントツールの導入効果を最大限に引き出すためには、自社の現状と目的に合致したツールの選定が極めて重要です。ここではAIコントラクトマネジメントツールの選び方について解説します。
自社の課題が解決できるツールを選ぶ
契約書管理の非効率化や情報散逸など、現在抱えている具体的な課題を洗い出し、その解決に直結する機能を持つツールを選定することが重要です。
たとえば、更新期限の管理漏れが最も深刻な課題であれば、自動通知機能や契約の自動更新条項を抽出する機能が充実しているかを確認する必要があります。
単に多機能であることだけを追求するのではなく、契約書の高速検索や進捗状況の可視化など、日々の業務の負荷を確実に軽減し、導入費用に見合う効果を得られるかという視点で評価しましょう。課題を明確にすることで、本当に必要な機能とそうでないものを見分けられます。
自動化できる範囲を確認する
AIコントラクトマネジメントツールは、契約書のレビュー、期限管理、契約書のデータ化など、さまざまな法務業務の自動化に寄与します。どの工程をどこまでAIが代行し、効率化できるかを導入前に詳細に確認することが大切です。
特に、AIによる条項の読み込み精度や、契約書作成から締結、管理までのプロセス全体で人手を介さずに完了できる範囲を把握する必要があります。
自動化の範囲はツールによって大きく異なり、導入効果に直結するため、デモンストレーションや試用期間を利用して、自社の契約書でその実力を確かめるのが望ましいでしょう。
既存システムとの連携可否を確認する
AI契約管理ツールを導入する際、既に利用している営業支援システム(SFA/CRM)や電子署名システムなど、既存の業務システムとスムーズに連携できるかを確認することが必要不可欠です。
連携が可能であれば、契約書情報を入力し直す手間がなくなり、データの整合性が保たれて業務プロセスがスムーズになります。特に、契約の承認プロセスや顧客情報を管理するシステムとのAPI連携が可能であれば、契約業務全体のデジタル化が一層進みます。
システム間でデータが分断されたり、二重入力の手間が発生したりしないよう、互換性と連携実績を十分に評価することが重要です。
セキュリティ・権限管理機能を評価する
契約書には企業の機密情報や重要な取引条件が含まれるため、厳格なセキュリティ対策が施されているかを確認することは必須です。
具体的には、データの暗号化、バックアップ体制、不正アクセス対策などの情報漏洩リスクへの対応状況を評価します。また、誰がどの契約書を閲覧・編集できるかを細かく設定できる権限管理機能の充実度も大切です。
また部署や役職に応じてアクセス権を適切に設定できることで、内部統制を強化し、重要な情報を保護する体制を整えられます。クラウドサービスのセキュリティ認証や実績も確認すべきポイントです。
導入後のサポート体制を確認する
AI契約管理ツールは、導入後もシステムの利用方法やトラブルに関する継続的なサポートが必要になることがあります。特に、AI機能の活用や初期設定など、専門的な問い合わせに対して迅速かつ的確に対応してくれるサポート体制があるかを確認することが重要です。
専任の担当者によるオンボーディング支援や、ツールの使い方に関する研修が用意されているかどうかも評価のポイントになります。
トライアルで使い勝手を検証する
契約管理ツールは、実際に利用する法務担当者や営業担当者の使い勝手が定着率と導入効果に直結します。そのため、無料トライアル期間を利用して、自社の実際の契約書や業務フローに照らし合わせて検証することが極めて重要です。
AIの読み取り精度や検索機能の操作性、ユーザーインターフェースの直感性などを確認し、現場の作業効率が本当に向上するかどうかを判断します。操作に迷う点や不便に感じる点がないか、複数の担当者で実際に使用感を確かめることで、導入後のミスマッチを防ぎ、スムーズな利用開始につなげられます。
電子帳簿保存法に対応しているかを確認する
契約書を電子データとして管理する上で、電子帳簿保存法の要件を満たしているかの確認は非常に重要です。具体的には、真実性の確保(タイムスタンプの付与など)や可視性の確保(検索機能の確保など)といった保存要件を満たしているかを確認します。
電子帳簿保存法に対応したツール(JIIMA認証製品など)であれば、システム要件に適合しているかを気にすることなく安心して利用できます。
AIコントラクトマネジメント導入の進め方
ツールを選定した後、スムーズに運用を開始するための標準的なステップを紹介します。
1. 現状の管理体制の棚卸しと要件定義
まず、現在「誰が・どこで・どのように」契約書を管理しているか現状を把握します。その上で、解決したい課題(検索時間の短縮、期限管理の厳格化など)の優先順位を決め、新システムに求める要件を明確にします。
2. データ移行と初期設定
過去の契約書(紙・電子いずれも)をシステムに取り込みます。この段階で、契約書の「タイトル」「取引先名」「日付」などの入力ルールや、閲覧権限の設定を行います。すべての契約書を一度に移行するのが難しい場合は、直近1年分や重要契約のみを優先して登録するなど、段階的な移行計画を立てます。
3. 運用ルールの策定と社内周知
システム導入後の業務フロー(承認ルートや登録タイミングなど)を策定します。マニュアルの整備や説明会を実施し、実際にシステムを利用する現場担当者の理解を得ることで、形骸化を防ぎ定着を促します。
AIコントラクトマネジメントツール導入時の注意点
AIツールの導入は効果的ですが、データ移行の負担や運用体制の整備、既存システムとの連携確認など、事前に押さえるべき点があります。スムーズな導入のために重要な注意点を確認しておきましょう。
既存契約書のデータ移行に想定以上の時間がかかる
契約書管理システムを導入する際、紙の契約書をスキャンしてデータ化する作業や、関連資料を整理する工数は想像以上に大きくなります。特に過去の契約書が大量にある場合、その作業をどの部署が担当するのか、どのように進めるのかについて社内での合意形成が必要です。
段階的な移行を計画し、重要度の高い契約書から優先的にデジタル化を進めることで、現場への負担を分散できます。過去契約書の件数によっては3〜6カ月程度かかる場合もあるため、余裕を持ったスケジュールで取り組むことが重要です。
運用ルールを決めずに導入すると現場で使われない
システムを導入しても、誰がどのように契約書を登録するのか、承認フローをどう設定するのかといった運用ルールが明確でなければ、現場で定着しません。担当部署や管理方法が曖昧なまま進めると、結局従来の方法に戻ってしまうケースも多く見られます。
導入前に契約管理の申請方法や保管ルール、アクセス権の設定方針を文書化し、関係者全員に周知することが不可欠です。説明会や研修を実施して操作方法を共有し、実際に使う法務担当者や管理部門の意見を取り入れながら進めることで、社内浸透を促進できます。
まとめ|AIで契約管理を効率化しリスクを低減する
AIコントラクトマネジメントツールは、契約書の期限管理や情報検索を自動化し、更新漏れや情報散逸のリスクを低減できます。
法務AIであるLegalOnは、契約書レビュー、電子契約、締結後の契約書管理、案件対応まで、法務業務を幅広くサポートします。特にコントラクトマネジメントにおいては、AIによる契約書本文の自動抽出やリスクチェック、契約期限の通知機能により業務の効率化を支援します。
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