「導入していなければ業務が破綻していた」 契約実務基盤の刷新で効率1.5倍を実現
Wovn Technologies株式会社
Head of Corporate Management Department 石田博幸 様 Corporate Management Department / Legal Section 大野こなみ 様
法務課題:管理部門長が実務を兼務し稼働がひっ迫。旧システムにおける契約内容の適否判断や検索、交渉履歴の把握の限界
導入経緯:実務を強力に支援する高品質なAIレビューやプレイブック機能、検索性の高さに魅力を感じて導入を決定
導入効果:体感の業務効率が5割向上し、契約書の検索スピードとヒット率も3〜4倍に、実質0.5〜0.6人分の働きで法務未経験者1人での業務運用を実現
活用事例:「AI契約書レビュー」で指摘や背景を学びながら未経験者が一次確認を行えるように。「LegalOnテンプレート」による自社ひな形の整備や、表記揺れを防ぐ校正機能の活用も
Webサイトやアプリを多言語化するクラウドサービス「WOVN.io」を開発・提供するWovn Technologies株式会社。一時的に法務担当者の不在という事態に際し、属人的な判断を補い業務を効率化する目的で2025年11月に法務向けProfessional AI「LegalOn」を導入し、現在「マターマネジメント」「レビュー」「LegalOnテンプレート」「MORI HAMADAライブラリー」「ユニバーサルアシスト」「コントラクトマネジメント」を利用しています。同社はいかにして契約書保管ツールの運用を脱却し、AIの支援によって人間が高度なビジネス判断に集中できる環境を手に入れたのか。管理部門を管掌する石田博幸様と、法務実務を担当する大野こなみ様に、お話を伺いました。
法務リソース不在が招いた稼働のひっ迫
(写真左から)大野様、石田様
御社の事業内容について教えてください。
石田様 当社は、Webサイトやアプリを最大45言語・79のロケール(言語と地域の組み合わせ)に多言語化する AI ソリューション「WOVN.io」を提供しています。システムを大規模に改修することなく、後付けで多言語対応サイトを構築・運用できることが特徴です。大手企業を中心に、交通インフラ、エンターテインメント、製造、小売など幅広い業界のお客様にご利用いただいており、導入サイト数は18,000を超えています。
現在の法務組織の体制と、扱う契約の種類について教えてください。
石田様 管理部門であるコーポレートマネジメント部が法務・労務・総務および内部統制機能を管轄しています。法務実務は大野がメインで担当し、私は部門全体のマネジメントを担っています。
大野様 契約業務では、契約前のお客様との各種規約の条件の確認や調整もあり、月間に数十件の契約関連の業務が発生し、期末など繁忙期にはその倍以上になることもあります。また、1社との取引でも複数契約が同時進行するケースが少なくありません。
契約書の種類としては、簡易的な申込書を除くとNDA(秘密保持契約)や利用規約の変更覚書が中心です。当社はSaaS事業者であるため、利用規約に免責条項や損害賠償の上限額を定める責任制限条項を設けていますが、大手企業との契約においては、この責任制限条項の緩和(賠償上限額の引き上げ等)や、秘密保持条項における第三者開示範囲の縮小、責任範囲の拡張を求められるケースも多く、受け入れが難しい旨の説明や落としどころに向けた交渉などが発生します。
お二人の役割やこれまでのご経験について教えてください。
大野様 現職の主な業務は契約書レビューです。そのほか特許管理や法務相談への対応も行っています。前職では営業からバックオフィスまでさまざまな業務を経験しましたが、法務はほぼ未経験でした。
石田様 私は以前、子会社の社長を長く務めており、決裁者として契約に接する機会は多くありました。ただ、自らレビュー実務に深く関わるようになったのは2022年に当社へ入社してからです。現在は大野が実務を担っていますが、複雑な案件については一緒に検討しています。
「LegalOn」導入前はどのような課題があったのでしょうか。
石田様 私が入社した当初から体制の変更等があり、一時は法務担当者が不在に近い状態になった時期がありました。当社はもともとリーン(筋肉質)な組織方針を取っているため、少数精鋭で運営している分、一人ひとりの異動等が組織に与える影響は大きくなります。当時は私がマネジメント業務と法務実務を兼務し、すべてのレビュー業務を引き受ける形で対応しました。
契約管理ツールの限界と新たな選択肢への転換
「LegalOn」導入前は、2年ほど契約書管理専用のシステムを利用されていたそうですね。
石田様 契約書管理が属人化していたため、どこに何の契約書があるのか簡単には分からない状況を改善する目的で導入しました。最新版の所在や承認履歴を管理できるようになり、一定の効果はありました。
しかし、そのシステムはあくまで契約書の保管・履歴管理に特化したツールで、契約内容の良し悪しを判断するのは人間側という前提で成り立っていました。法務担当者が不在となり、私が実務を兼務するようになると、そのシステムだけでは対応しきれないと感じるようになりました。
そこで「LegalOn」へのリプレイスを検討されたのですね。
石田様 はい。以前から営業担当者の方にご提案いただいていましたが、デモを見た際にAIが専門知識を補ってくれる点やAIレビューの利便性・品質を魅力に感じました。
また、「プレイブック」機能を使えば自社基準に基づく契約審査ができることや、過去案件との比較機能、検索性の高さなども大きな魅力でした。単なる保管ツールではなく、法務実務そのものを支援してくれると感じ、導入を即決しました。
旧システムと比較して、契約書の検索性や過去案件の活用面ではどのような違いがありますか。
石田様 以前のシステムでは契約書タイトルが完全一致しなければ検索できず、案件ごとの交渉経緯も十分に残せませんでした。そのため、「なぜこの契約ではここまで譲歩したのか」といった契約締結までの背景を追うことが難しいといった課題がありました。一方、「LegalOn」は曖昧なキーワードでも必要な契約書にたどり着けます。体感として検索スピードやヒット率は3〜4倍向上しました。
法務未経験者の実務習得を支えたレビュー機能
法務未経験だった大野様は、どのように業務を習得されたのでしょうか。
大野様 実務を学ぶうえで最も役立ったのはAIレビューです。レビュー結果を見れば、どこをチェックすべきかがすぐに分かります。また、御社が運営する情報メディア「契約ウォッチ」や前任者がスプレッドシートにまとめた社内ルールも参考にしながら知識を身につけました。類似案件や過去バージョンとの比較で差分を確認できる機能も非常に有用で、実務を進めながら学べる環境が整っていました。
「レビュー」モジュールのAI契約書レビューの結果画面。指摘事項内の[関連情報]をクリックすると、指摘理由や法的背景などの解説を確認することも可能です。(※ 画像はイメージです)
そのほか活用している機能について教えてください。
大野様 英文契約対応の「ユニバーサルアシスト」も活用しています。そこまで頻繁に使うわけではありませんが、急な依頼にも対応できる安心材料になっています。
弁護士監修の豊富なひな形が揃う「LegalOnテンプレート」は、自社ひな形の見直しに活用しています。搭載されているひな形を参考にして社内に点在していたひな形を整理・アップデートし、最新版を「LegalOn」へ集約しているところです。
また、現在はスプレッドシートで管理している自社の審査基準についても、将来的にはAIアシスタント機能を活用して「LegalOn」内へ取り込みたいと考えています。
石田様 森・濱田松本法律事務所が監修する「MORI HAMADAライブラリー」も非常に重宝しています。新規事業に伴う業務委託契約や資本提携など、複雑でセンシティブな案件を扱う際に適切な“落としどころ”を把握するための教材として活用しています。
その他、特に気に入っている機能はありますか。
大野様 契約書一覧のタブを自由にカスタマイズできる点です。条件ごとに契約書を整理できるため、日々の業務がとてもスムーズになりました。
「コントラクトマネジメント」では契約書に対して任意の管理項目(契約カスタム項目)を追加・設定することが可能。稟議番号や店舗名など、自社の都合に合わせた自由な設定が可能です。契約カスタム項目は抽出ルールを指定することでAIによる自動抽出対象とすることもできます。(※ 画像はイメージです)
石田様 AIによる校正機能が便利ですね。表記揺れや句読点の抜けなど、人が見落としやすい細部まで瞬時に指摘してくれます。契約書において細部の体裁・言い回しは非常に重要であるため、大きな助けになっています。
また、依頼部門へレビュー済みの契約書を返却する際のコメント案も提示してくれるため、コミュニケーションの効率化にもつながっています。
一方で、今後さらに活用を広げていきたい機能はありますか。
石田様 「マターマネジメント」です。現在はまだ審査受付や案件に関するコミュニケーションはSlackで行っていますが、今後は案件ごとの対応履歴や判断の経緯を蓄積し、組織としてナレッジを共有していくために、「マターマネジメント」を活用していきたいと考えています。運用方法を整理しながら、より効果的な活用を進めていく予定です。
業務効率を飛躍させた実務支援による変革効果
もし「LegalOn」がなかったら、契約審査業務にはどのような影響が出ていたと思いますか。
大野様 契約書のレビューに要する時間が大幅に増加し、石田へ相談する頻度も増えていたと思います。現在はAIが的確な修正案を提示してくれるため、私が一次的な確認を行い、事業リスクを踏まえた高度な判断が必要な部分だけを石田に確認してもらえば業務を進められるようになりました。
石田様 率直に言って、「LegalOn」がなければ私自身の業務が破綻していたと思います。契約書の品質も維持できなかったでしょう。
従来の管理システムでは補えなかった領域をAIがカバーしてくれていますし、大型案件や難易度の高い契約でも細かな見落としを防げています。体感として業務効率は5割程度向上しました。
私は内部監査やJ-SOX(財務報告に係る内部統制報告制度)対応も兼務していますが、早い段階で導入できたことに本当に助けられました。「LegalOn」は実質的に0.5〜0.6人分の役割を果たしていると感じています。
「LegalOn」をどのような組織におすすめしたいですか。
大野様 法務人材が不足している企業や専任担当者がいない組織です。当社でも以前は複数人で対応していた業務を、現在は私ひとりで回せています。効率化とスピード向上の効果は非常に大きいと思います。
石田様 私は、むしろ人数が多いリーガルチームにもおすすめしたいですね。リソースがダブつき、メンバーごとに業務が属人化している組織は少なくありません。「LegalOn」を活用すればナレッジをプラットフォーム上で共有できるため、組織全体の法務力を底上げできると思います。
属人化を排しナレッジ共有型組織への進化
今後の組織のあり方についてどのような展望をお持ちですか。
石田様 前職では、ペーパーレス化が徹底され、Salesforce上であらゆるタスクがレコード管理されている環境を経験しました。担当者が変わっても、短時間で確実に引き継ぎが完了できる状態です。
法務業務も同じように、属人化をなくし、業務をパブリックに引き継げる状態にすることが理想です。つまり、誰もがアクセスできる形で情報や業務プロセスを共有できる環境をつくりたいと考えています。優秀なメンバーが少人数でも最大限の成果を発揮し、事業に直接貢献できる組織を目指したいですね。
最後に、「LegalOn」への期待をお聞かせください。
石田様 「LegalOn」には、蓄積された知見をノウハウとして社会へ還元し、日本全体の法務レベルを底上げするインフラになってほしいと思っています。
また、今後は契約書単位だけでなく、「損害賠償」など条項単位で比較・分析できる機能にも期待しています。条項ごとの比較や活用が容易になれば、より高度なナレッジ活用が実現できるはずです。「LegalOn」がそうしたエコシステムへ進化していくことを期待しています。
(取材日:2026年6月)※掲載内容は取材当時のものです。