契約審査4割削減を実現した法務改革 長年のリーガルテック活用で生産性向上
サンワテクノス株式会社
法務・コンプライアンス部 法務課 主任 阿部大 様
- 法務課題:少人数体制で契約審査件数が多く、レビューや見解書作成に時間を要し、事業部との連携時間が不足していた状況
- 導入経緯:契約審査フロー短縮を目的にリーガルテックを検討し、レビュー精度と操作性を評価してLegalForceを導入、後継サービスとしてLegalOnへ移行
- 導入効果:一次レビューにおける読み込み作業を約4割削減、見解書作成時間を約2時間から30分へ短縮するなど生産性向上を実現
- 活用事例:AI契約書レビューと比較機能による差分確認、LegalOnテンプレートを用いた契約書作成支援、ユニバーサルアシストによる英文契約の翻訳・レビュー活用
サンワテクノス株式会社は、国内外に広がるグローバルネットワークを活かし、最新の技術提案と最適な製品提供を通じて、持続可能な社会の発展に貢献する独立系技術商社です。リーガルテック黎明期からAI契約書レビューを活用し、「LegalOn」では「レビュー」「LegalOnテンプレート」「ユニバーサルアシスト」の各モジュールを導入いただいています。今回は、法務・コンプライアンス部法務課で契約審査業務を担当する阿部大様に、LegalOnの具体的な活用方法や導入効果、社内での利用促進の取り組みについて伺いました。
グローバル技術商社を支える法務体制

御社の事業内容について教えてください。
当社は「電子コンポーネント」「制御デバイス」「産業用PC」「FAソリューション」の4事業を柱に、産業用エレクトロニクス・メカトロニクス分野の装置・機器・部品を国内外に提供する独立系技術商社です。特定のメーカーや企業グループに属さない立場を活かし、幅広い選択肢の中から最適な商品やソリューションを組み合わせて提案できる点を強みとしています。国内30拠点、海外40拠点に及ぶグローバルネットワークを通じて、サプライチェーンの最適化や業務効率化を支援しています。
法務部門の体制や業務内容について教えてください。
法務関連業務は法務・コンプライアンス部が担い、現在は9名体制です。部内は法務課と審査課に分かれており、契約業務は法務課の5名で対応しています。全国の拠点をエリアごとに分け、各担当者が主担当として契約審査や法律相談を受け持つ体制です。業務内容は契約法務を中心に、機関法務、紛争対応、コンプライアンスまで幅広く、英文契約をメインで扱うメンバーも在籍しています。
契約審査ではどのような契約類型を多く扱うのでしょうか。
取引基本契約と秘密保持契約(NDA)が全体の7割以上を占めています。その他、事務所の賃貸借契約や駐車場契約、清掃業務委託契約などがあり、稀に物品代行契約を扱うこともあります。法務課で審査対応する件数は月30〜40件程度で、そのうち英文契約は約1割です。リスクの低い一部の契約は各拠点に委譲しているため、全社としての契約件数はさらに多いと思います。
技術商社ならではの、契約上の特徴や傾向はありますか。
当社は、多くの取引において、仕入先であるメーカーから商品を調達し、お客様に販売する代理店・特約店という立場にあります。保証内容や仕様、販売条件などは基本的に仕入れ先が定める一方で、販売先であるお客様から要望をいただくこともあります。こうしたギャップが生じた場合は、当社が双方に対して交渉・調整をする必要が生じます。こうした場面で修正案や交渉のためのコメントを作成する必要があることが、技術商社ならではの業務ではないかと思います。
少人数法務の課題が導入の原点

従来製品である「LegalForce」を2018年よりご利用いただきました。当時はまだAI契約書レビューが普及する前だったと思いますが、導入の背景を伺えますか。
当時、法務課は私を含め3名体制と人数が少なく、契約書の審査に多くの時間を割かれ、事業部門とのコミュニケーションに十分な時間を確保できない状況が続いていました。業務効率を高め、無駄を削減するためには、契約書審査フローの短縮が喫緊の課題でした。
そうした中、リーガルテックの展示会でLegalForceを知り、2018年10月にベータ版をトライアルしました。他サービスも検討しましたが、レビュー精度の高さと操作性の良さが決め手となり、正式導入に至りました。
特に印象的だったのがOCR(光学文字認識)精度です。当時は紙の契約書が中心で、複合機のOCR機能では文字化けが多く、確認と修正に丸1日かかることもありました。LegalForce導入後は、ほぼ手間なく正確にデータ化できるようになり、作業時間を大幅に削減できました。自社基準に基づくAIチェックの信頼性も高く、業務効率は格段に向上しました。
2025年4月には「LegalOn」に移行されました。移行について特に懸念はありませんでしたか。
LegalForceを長く利用しており、サービスへの満足度が高かったため、特に懸念もなくそのままLegalOnへ移行しました。従来の機能を引き続き使える点に加え、今後も継続的なアップデートが予定されている点にも魅力を感じました。
現在は「レビュー」「LegalOnテンプレート」「ユニバーサルアシスト」の各モジュールを利用しています。限られた予算の中で、当初の課題であった契約審査の効率化に最も効果的だと判断し、導入を決めました。
LegalOnを組み込んだ契約業務フロー

現在の契約業務のフローを教えてください。
営業担当者が社内システムで申請した契約書は、まず管理課が入力内容を確認し、その後法務に回付されます。法務課では営業担当者へのヒアリングを行い、取引内容を把握したうえで、LegalOnによる一次レビューを実施します。修正案を作成後、課内で協議し、部長が二次レビューをしてから管理課へ戻します。その後、先方との合意、社内承認を経て決裁します。締結後の契約書はPDF化してデータベースに登録し、原本は支社または本社で保管しています。
LegalOn導入前後の契約業務フローの変化
LegalOnで気に入っている機能はありますか。
最も重宝しているのは「比較機能」です。基本契約の再締結時には、旧契約と新契約を比較し、変更点を差分で確認しています。そのうえで、条文上のリスクと実際の取引内容にズレがないかを、管理課や営業担当者と確認します。
また、稟議の際にはドラフトと最終版を比較し、修正意図を整理した見解書を添付しています。以前は印刷して目視で突合していましたが、現在はAIに任せられるようになり、大幅な時間短縮につながっています。
標準機能として搭載される「比較」機能では、契約書や自社ひな形を全文または条文単位で比較し、修正点や差分を画面上で分かりやすく確認できる。(※ 画像は条文比較の結果画面のイメージです)
「LegalOnテンプレート」はどのように使われていますか。
LegalOnテンプレートには、さまざまな類型や立場の契約書に加え、利用規約や社内規程のひな形も揃っています。自社取引に沿った内容に落とし込む際の参考資料として重宝しています。特に、普段扱わない類型や久しぶりの契約類型では、一般的な形式はどのようなものなのかや注意点を参考にしながら契約書作成できるので便利です。直近では、M&A案件に伴う社内規程整備や清掃業務委託契約の確認に活用しました。
「ユニバーサルアシスト」もご契約いただきました。こちらの活用状況はいかがでしょうか。
社内に英語が堪能な人材が多くないため、英文契約書の翻訳や対訳表の作成に活用しています。管理部門や事業部門へ説明資料を渡す際にも、対訳を添付することで内容理解を促しています。これまでは他の翻訳サービスを利用していましたが、他ツールに切り替えることなくLegalOnの同一プラットフォーム上で使える点や、翻訳精度の高さを評価しました。担当外の契約書でも学習目的でユニバーサルアシストを使ってレビューすることがあり、「こういう指摘が入るのか」と業務理解の深化にもつながっています。
外国語契約書の翻訳やレビュー(要レビューモジュール)が可能な「ユニバーサルアシスト」。英文契約書のレビュー結果を日本語で表示し、英文の修正案を提示する。(※ 画像は翻訳画面のイメージです)
必要情報の読み込み作業を4割、見解書の作成時間を3/4削減

導入後の成果・効果について教えてください。
一次レビューにおいて、契約書や関連資料を読み込む時間を約4割削減できました。また、先ほど述べた稟議に添付する見解書も、以前は約2時間かかっていましたが、現在はLegalOnの比較表にコメントを加える形で済み、30分程度で作成できるようになりました。こうした効率化により、契約審査業務にかかる負荷が大きく軽減されています。
LegalOn利用促進のために、工夫されていることはありますか。
支社の管理部門には一人ずつ契約担当者を選定してもらい、LegalOnのアカウントを付与しています。説明会や勉強会では、その契約書が印紙税の課税対象かどうかを判定してくれる「印紙税チェック」など、便利な機能も紹介し、さらなる活用促進を図っています。
また、法務課へ審査を上げる際に「自動レビューの結果を添付してほしい」と依頼することで、最低限のチェックを行ってもらうと同時に、契約への関心を高める工夫もしています。支社からは比較機能の便利さに対する前向きな声も寄せられており、日常業務の中で自然にLegalOnに触れる機会が増えています。
一人法務・少人数法務や法務経験が浅い担当者にも最適

リーガルテックの活用を含め、組織としての今後のビジョンを教えてください。
現在、AIは業務支援として作業の効率化や時間短縮に活用していますが、将来的には判断まで含めて担い、法務担当者にとっての「良き相棒」として能力を補完・拡張する存在になることを期待しています。
少人数でも法務のプレゼンスを高めるためには、リーガルテックやAIを積極的に活用し、人でなければできないコミュニケーションやリスク分析に時間を割くことが重要です。
当社では部長主導のもと、情報管理や利用ルールに配慮しながら生成AIの活用を進めています。社内向けの学習動画を配信するなど、法務に限らず全社的な活用も推進しています。今後はAI活用や契約の標準化を進め、より幅広い契約業務を支援できる体制を整えたいと考えています。
LegalOnをどのような企業にすすめたいですか。
向いていない企業が思いつかないほどどんな企業にもおすすめできると思いますが、強いて言えば一人法務や少人数体制の法務部門です。大規模な法務組織であれば周囲に相談できる環境がありますが、一人・少人数法務では、判断の拠り所が限られる場面も少なくありません。そうした場面でLegalOnを使えば、判断の裏付けや安心材料を得られます。経験豊富な方でも、自身の指摘とAIの指摘が一致すれば自信につながり、新たな論点に気づくこともあるでしょう。
私自身、法務経験が浅かった頃、リーガルテックを通じて自分の判断が大きく外れていないと確認できたことは、大きな支えになりました。一人法務・少人数法務こそ、積極的に活用すべきツールだと思います。
(取材日:2025年12月)※掲載内容は取材当時のものです。