ゲーム開発を支える契約管理業務を刷新 属人化を解消し知見をチームの資産へ
株式会社セガ
開発IT支援部 第三ITサポートセクション マネージャー 久冨幸恵 様 開発IT支援部 第三ITサポートセクション 島田愛梨 様
- 法務課題: 契約書管理がベテラン社員に依存して属人化。網羅的な台帳がなく、過去契約の検索や知見継承に課題があり、チーム全体で契約業務を運用できる体制構築が急務に
- 導入経緯: 契約管理をシステム化し、人とシステムの役割を分離するため「LegalOn」を導入。契約書の一元管理による共同運用基盤の整備に加え、「LegalOnアシスタント」の有用性を評価し追加導入
- 導入効果: 約500件の既存契約を登録し、過去契約の横断検索を実現。ライセンス契約の証跡確認が容易となり、不要な再契約リスクやコストを低減。契約書ドラフト作成の品質向上や法務部の負担軽減にも寄与
- 活用事例: 「コントラクトマネジメント」で契約書やドラフトを管理し、差分比較機能で変更点を確認。「LegalOnアシスタント」を活用して契約審査用サマリー作成、権利義務の整理、利用規約調査、法務リサーチ、契約業務初学者の学習支援を実施
日本を代表する総合エンタテインメント企業、株式会社セガ。ゲーム開発に欠かせない社内ITインフラの調達・管理や環境構築を担う開発IT支援部では、契約管理の属人化や、チーム内での知見の継承が課題となっていました。そこで同社は2025年10月、法務向けProfessional AI「LegalOn」を導入。現在は「コントラクトマネジメント」と「LegalOnアシスタント」を活用し、過去契約の可視化によるリスク低減や契約業務の初学者育成など、管理にとどまらない成果を上げています。システム化による業務効率化やナレッジの継承などについて、同部第三ITサポートセクションの久冨幸恵様と島田愛梨様にお話を伺いました。
法務部と現場をつなぐ調整役として契約業務を支援
(写真左から)島田様、久冨様
御社の事業内容について教えてください。
久冨様 当社はセガサミーグループの中核を担う総合エンタテインメント企業です。家庭用ゲーム機やPC、スマートフォン向けコンテンツの企画・開発・販売・運営を手がけており、国内外のスタジオやグループ企業が開発した多彩なゲームコンテンツを、世界中に提供しています。近年は、ゲーム事業で培ったノウハウや資産を活かし、ゲームの枠を超えた新規事業にも挑戦し、常に新しいエンタテインメントの創出を目指しています。
「LegalOn」を導入いただいた開発IT支援部とはどのような部署なのでしょうか。
久冨様 開発IT支援部は、サーバーやネットワーク、機材、ソフトウェア、各種ツールなど、ゲーム開発に必要なITインフラの調達・管理・運用を担う専門部署です。その中で私たち第三ITサポートセクションは、開発に伴う煩雑な事務手続きの代行や、現場で使用するソフトウェアの購買、ITツール導入時のシステム企画などを担当しています。クリエイターがゲーム制作に集中できる環境づくりを目的に、開発部門のバックオフィス業務全般を支援しています。
第三ITサポートセクションではどのような契約業務が発生するのでしょうか。
久冨様 法務部は別にあるため、私たちの主な役割は、取引先との交渉内容が契約書へ適切に反映されているかを確認することです。取引先と法務部の間に立ち、内容確認や調整を行っています。
例えば、ゲームで使う「フォント」の組み込み契約では、許諾範囲や利用制限が当社に不利にならないかを確認します。リスクがある場合は、開発部門や法務部と協議し、どのような対応を取るべきか判断します。
当部では2025年に約1000件の契約を締結しました。そのうち詳細な審査が必要だったのは84件です。残る約900件は、更新や約款ベースのレンタル・リースなどの軽微な案件です。ライセンス契約などは、申請ベースのやりとりだけではなく、法務部との連携が必要となる場面も多くあります。
おふたりの業務内容についても教えてください。
久冨様 私はもともと業務委託のITエンジニアでしたが、社員登用後にIT機器の調達業務を担当し、その流れで契約業務にも携わるようになりました。独学でビジネス実務法務検定3級を取得するなど知識を深め、契約業務のキャリアは約15年になります。
現在は10名のメンバーを率いるマネージャーを務めていますが、管理業務だけでなく、ライセンス契約など複雑な案件では私自身が取引先や法務部との調整を担当することもあります。
島田様 私は2年前に当セクションへ配属され、主にゲーム開発用機材の調達と、フォント関連の契約管理を担当しています。
機材調達では、各プラットフォームメーカーと連携しながら開発機材を手配しています。一方、フォント関連では、開発部門からの依頼を受け、フォント会社との調整や契約書の取り寄せ、社内申請までを担当しています。これらを合わせ、年間約50件の契約業務に携わっています。
契約管理の属人化を解消し、チームでの共同運用へ

契約業務の流れについて教えてください。
久冨様 フォント契約を例にお話しします。まず、開発部門から「このフォントを使いたい」という依頼がメールで届きます。次に、私たち第三ITサポートセクションがフォントメーカーへ連絡し、利用範囲や制約事項を確認した上で、見積書や契約ひな形を取り寄せます。
内容がある程度固まった段階で開発部門へフィードバックし、用途や費用面に問題がなければ、島田が社内稟議の起案と契約審査手続きを進めます。
続いて法務部へ契約審査を申請し、法務から指摘や助言があれば、それらを参考に取引先と調整します。必要に応じて開発部門とも協議し、ビジネスリスクを踏まえた判断を行います。開発部門、取引先、法務部の間に立ちながら細かな調整を重ね、最終的に双方が合意した後は、ホールディングスの総務を通じて電子契約を締結する流れです。
「コントラクトマネジメント」を導入いただきましたが、締結後の契約書はどのように管理していますか。
久冨様 締結後の契約書はPDF化し、「コントラクトマネジメント」へアップロードして管理しています。「LegalOn」導入時には既存契約書を約500件登録しました。現在は、重要度や契約期限の有無などを判断した上で、必要なものを選定して登録しています。
また、締結済みの契約書だけでなく、契約締結前のドラフトも都度アップロードしています。「LegalOn」の差分比較機能を活用し、取引先とのやり取りでどこが変更されたのかを正確に確認するためです。未締結段階から柔軟に活用しています。
「LegalOn」導入前後で変わったのは、契約書管理の部分でしょうか。
久冨様 そうですね。基本的な業務フロー自体は大きく変わっていません。ただ、締結後の契約書が一元管理されたことで、資料としての活用価値が大きく高まりました。
例えば、以前は契約書が細かいフォルダ階層に分かれて保管されていたため、目的の契約書にたどり着くまでに時間がかかることがありました。「LegalOn」導入後は、メーカー名やフォント名で横断検索できるようになり、必要な契約書を探しやすくなっています。
「LegalOn」導入前は、一元管理されていなかったのですか。
久冨様 以前は、20年の経験を持つベテラン社員が、社内サーバー上で細かくフォルダ分けして管理していました。ただ、網羅的な台帳はなく、管理が属人的になっていました。
通常業務を進めながら、前任者の膨大なノウハウを引き継ぐのは容易ではありません。そこで、契約管理はシステムへ任せ、人とシステムの役割を分けたいと考えたことが、「LegalOn」導入のきっかけでした。
前任者は契約管理のスペシャリストでしたが、私はマネージャーであり、他業務も抱えています。属人的な引き継ぎを続ければ、将来的に同じ問題が再発しかねません。他業務と兼務するメンバーでも契約書を検索・参照でき、チーム全員で共同作業できる仕組みが必要でした。
「LegalOn」活用でリスク低減と初学者育成を実現

法務特化型AIアシスタント「LegalOnアシスタント」はどのように活用していますか。
久冨様 当初は「コントラクトマネジメント」のみを契約していました。しかしその後、「LegalOnアシスタント」のベータ版を試す機会があり、契約上の権利義務を表形式で整理させてみたところ、その精度と有用性に驚かされ、追加での導入を決めました。現在は、法務部へ契約審査を申請する際のサマリーの作成や、開発部門へフィードバックするための情報整理に活用しています。
さらに、外部サイトの情報も参照できる「Webサーチ」機能も便利です。具体的には例えば、SaaS系サービスの導入検討時には、利用規約や約款、公開されている契約条件などを要約してもらいながら、「契約概要をまとめて」「法人契約で注意すべきポイントを教えて」「当社が契約できるプランはどれ?」などと質問しています。具体的な質問に対して的確なアウトプットが得られるため、検討スピードが大きく向上しました。
「LegalOnアシスタント」は、チャットベースで契約書作成や法務リサーチを支援するAIアシスタントです。Webサーチ機能も搭載しており、法令・官公庁ガイドラインなどリーガル観点で信頼性の高い公開情報を参照、出典を明記したうえで確認できます。(※ 画像はイメージです)
「LegalOn」導入による成果や効果を教えてください。
久冨様 過去の契約書を確実に探し出せるようになり、ビジネスリスクとコストの削減につながりました。例えば、過去に発売したゲームソフトのリメイク版やリマスター版を開発する際には当時のフォントやミドルウェアなどのライセンス契約を探し、許諾範囲を確認する必要がありますが、以前は本来参照すべき契約書へスムーズにたどり着けないことがありました。
仮に「続編やリメイクも利用範囲に含む」と当時合意していたとしても、その証跡を見つけられなければ、新たな契約を結ぶ必要が生じ、不要なコストが発生してしまいます。過去契約を「LegalOn」へ格納したことで、権利関係のエビデンスを適切に残せるようになり、契約管理基盤として十分に機能しています。
また、契約書に対する心理的なハードルが下がった点も導入効果の1つです。ハードルが下がったことで、以前は類似契約の流用や差分のチェックをする程度で法務部へ契約書を審査依頼することが多かったのですが、最近では「契約書のドラフトに挑戦してみようかな」と考える当セクション内の契約業務担当者も出てきました。
実際、LegalOn導入後は、格納済み契約を参照・編集しながら、自分たちで原案を作成できるようになりました。法務部へ提出する前段階の契約書の品質が向上し、法務側の負担軽減にもつながっているのではと思っています。
契約業務の初学者育成にも役立っていますか。
久冨様 はい。非常に役立っています。法律の専門家ではない私たちにとって、条項が現行法に適合しているかを判断するのは簡単ではありません。しかし、法務部へ確認する前に「LegalOnアシスタント」へ気軽に質問できるため、経験の浅いメンバーにとって心強い学習支援になっています。
また、リスク指摘だけでなく、条文修正の代替案まで提示してくれる点も魅力です。提案文をもとに、事前に取引先や法務部と調整できるようになり、業務スピード向上にもつながっています。
ベテランの知見を資産化し、誰もが使いやすい環境へ

組織の今後のビジョンや目標を教えてください。
久冨様 新しく加わるメンバーが安心して成長できる、働きやすい環境を作ることが目標です。契約審査という業務は身構えやすく、特に初学者は「何を確認すればいいのか分からない」という不安を抱きがちです。まずは「LegalOnアシスタント」に気軽に質問しながら、契約書を読むポイントや審査の勘所を学んでほしいと思っています。
人に何度も質問することへ気後れしてしまう場面でも、AIがナビゲーターとなることで、初学者の挫折を防ぎ、契約を扱える人材をチーム全体で増やしていきたいですね。将来的には、20年来のベテランが蓄積してきた知識やノウハウをプロンプトとして残し、チーム全体の共通資産として活用していきたいと考えています。
どのような企業に「LegalOn」をすすめたいですか。
久冨様 取引先との条件調整など、「法務審査の前段階」を担う組織におすすめしたいです。交渉段階から「LegalOn」を活用することで、条件整理やリスク把握を事前に済ませた状態で法務へ契約審査を依頼できます。契約における判断の迷いを減らせるため、取引先との調整を担うフロント部門にとって、大きな助けになると思います。
島田様 まず、膨大な過去契約や変更履歴の管理に課題を抱えている企業に向いていると思います。また、私自身もそうですが、経験が浅い状態で契約管理を担当しているメンバーが多い部署にもおすすめしたいです。難しい条文も「LegalOnアシスタント」が分かりやすく要約・解説してくれますし、UIも直感的で使いやすいと感じています。
(取材日:2026年4月)※掲載内容は取材当時のものです。