ツール分散による「情報の断絶」を解消 少数体制のもと、月70件に及ぶ契約審査と社内ガバナンス・コンプライアンス対応の両立を実現
株式会社クラシアン
コーポレートガバナンス部門 グループ総務部 部長 松田圭太 様
- 法務課題: 月70件規模の契約審査を少人数で担う中、受付・審査・保管が分断され、案件背景や交渉経緯の把握が属人的に。
- 導入経緯: 案件管理や契約審査支援、契約書保管のツールを個別に整備していたものの、受付から審査・署名・保管までを一つの流れで扱う必要性からLegalOnへ集約。
- 導入効果: 契約業務をLegalOnに集約したことで、ツール間移動と情報分散を解消し、審査依頼が増える中でも少人数で業務を回せる体制を構築。
- 活用事例: マターマネジメントのタイムラインで判断・交渉履歴を時系列に蓄積し、PDF契約書のOCRや弁護士監修テンプレートも活用して作成・審査の省力化を推進。
4時間365日、全国47都道府県で水まわりのトラブルに対応する「水道局指定工事店」として、圧倒的な信頼を築いてきた株式会社クラシアン。その親会社である株式会社クラシアンホールディングスは2023年9月にAIレビューサービス「LegalForce」、同年10月にAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」を導入し、2025年10月には法務AI「LegalOn」へ移行しました。現在は「マターマネジメント」「LegalOnテンプレート」「サイン」「コントラクトマネジメント」「LegalOnアシスタント」の各モジュールを活用しています。
同社の法務機能を担うグループ総務部では、少人数体制で月70件に及ぶ契約審査を担うとともに、社内ガバナンス・コンプライアンス対応を担っています。かつては工程ごとに複数のツールが乱立し、情報の分断に悩んでいた同社が、なぜ契約業務の「LegalOn」への集約を決断したのか。グループ総務部の松田圭太部長にお話を伺いました。
多岐にわたる業法対応と全国の許認可管理。少数で47都道府県の事業を支える

御社の事業内容について教えてください。
当社は「水まわりのトータルアドバイザー」として、24時間365日、全国47都道府県で水まわりのトラブルに対応しています。全国に展開する各拠点が自治体認可の「水道局指定工事店」であり、適正施工を徹底している点が強みです。個人向けのリフォーム事業や浄水器・給湯器などの販売に加え、法人向けの水まわりメンテナンスや取り付け工事などの事業も展開しており、2026年6月には創業35周年を迎えます。
法務部門の組織体制について教えてください。
当社の法務機能はグループ総務部の一部がこれを担っており、実務は私を含めた少数精鋭で、契約審査に加え、ガバナンス業務やコンプライアンス対応、水道法・建設業法・特定商取引法といった業法対応まで幅広く担っています。これのほかに全国規模に及ぶ許認可管理を行うチームもおり、担当領域は多岐にわたります。
契約審査はどのくらい案件があり、どのような内容が多いのでしょうか。
契約審査件数は月70件程度に及び、当社ビジネスモデルに係る法人向けの定型的な業務委託契約(受託)を中心に、工事請負契約、保守業務委託契約のほか、当社がサービス提供を受ける際のシステム開発契約や不動産賃貸借契約など、その内容は多岐にわたります。
松田様のキャリアについてもお聞かせください。
大学卒業後、法律事務所でパラリーガルとしてキャリアをスタートしました。その後、情報通信会社や、物流施設を中心とする建設・不動産コンサルティング会社で法務実務を経験し、当社に入社して現在3年目です。一貫して法務のキャリアを歩んできたため、これまで培ってきた実務経験を活かしながら日々の業務に取り組んでいます。
ツール乱立による「情報の分断」。統合環境の必要性を実感

「LegalOn」へ移行された背景を教えてください。
私が入社した当時は、契約審査の依頼や確認を個別のワークフローで行っており、案件を一元的に管理する仕組みが十分に整っていませんでした。一方で、締結済み契約書の管理には既に「LegalForceキャビネ」が導入されていたものの、案件管理や契約審査の運用面には課題が残っていました。
そこで、案件受付や進捗管理を集約できる法務管理システム(他社製品)を導入するとともに、新たに契約審査支援ツールである「LegalForce」を導入し、案件受付から契約審査、締結済み契約書の管理までの流れを可視化・効率化できる仕組みを整備しました。
一方で、契約業務全体をさらに効率化していくには、受付・審査・署名・保管までの情報を一つの流れで扱える環境が望ましいと感じていました。そこで、「LegalOn」への移行を機に、各工程をよりシームレスにつなぎ、業務全体の一元管理を進めることにしました。
2025年10月に「LegalOn」へ移行された背景は、やはりツールの集約ですか。
はい。実はその際、他システムの拡張機能で契約書管理を行う案もありました。ただ、案件受付から審査、署名、保管までを一つの流れとして完結できる環境こそ必要だと判断し、「LegalOn」への移行を決めました。
現在は、案件管理から電子締結、締結後の契約書管理まで、一元的に「LegalOn」を導入しています。定型的な受託契約が多いため、「レビュー」は未導入ですが、AI契約書レビューを用いた依頼部門による一次レビュー体制の構築も視野に入れており、さらなる省力化に向けて導入を検討しています。
必要な機能からスモールスタートし、状況に応じて柔軟に機能を拡張できる点は、「LegalOn」の大きな魅力だと感じています。
同一プラットフォームだからこその移行のしやすさと、弁護士監修ひな形の安心感

締結済み契約書の管理に「コントラクトマネジメント」を導入した理由を教えてください。
契約業務全体を一つの環境で完結させたいという考えから、「コントラクトマネジメント」の導入を決めました。当時「LegalForceキャビネ」で管理していた約2500件の契約書を他ツールへ移すのは大きな負担でしたが、同一プラットフォームである「LegalOn」への移行は非常にスムーズで、この移行コストの低さも後押しになりました。実際に運用を始めてみると、管理のしやすさという点でも優位性を感じています。
「LegalOnテンプレート」は、どのような場面で活用されていますか。
各部門から契約ひな形を求められる機会が多く、新規事業やスポット案件など、自社ひな形だけでは対応しきれない場面が増えていました。「LegalOnテンプレート」はゼロから作成する手間を省きながら、案件に応じて柔軟に調整できるため、省力化と品質維持の両面で非常に役に立っています。
また、将来的な増員も見据え、ひな形を“教科書”として活用することで、実務教育にもつなげたいと考えています。
電子契約については、現在どのような形で運用されていますか。
電子契約については、用途に応じて「サイン」と以前から契約している電子契約サービスを併用しています。社員向け誓約書の展開や取引先への約款提示など、同一書類を一斉送信する場合は既存サービスを利用しています。一方で、取引先との双方捺印型の契約には「サイン」を活用しています。コスト面では「サイン」に優位性があるため、用途に応じた使い分けで効率化とコスト削減を図っています。
法務特化型AIアシスタントである「LegalOnアシスタント」はどのように活用されていますか。
本格的な活用はこれからですが、主に若手担当者の教育ツールとして活用していきたいと考えています。AIとの対話を通じて、実務知識を補完できるような運用を整えていきたいですね。
受付から締結・保管までをシームレスに。依頼増にも「一人で回せる」業務基盤を構築

契約審査の業務フローを教えてください。
まず、事業部門が「マターマネジメント」の「案件受付フォーム」から審査をグループ総務部へ依頼します。入力内容は「LegalOn」上に自動で案件登録されるため、その情報をもとにグループ総務部内の担当が反社チェックを行い、その後、私がリーガルチェックを行います。その後は、社内で取引承認と押捺可否の稟議を経て、承認が下りれば、基本的には「サイン」を用いて電子契約を締結します。
締結済みの契約書は、そのまま「コントラクトマネジメント」に自動で格納されます。受付から締結、保管までが分断されることなく、一つのプラットフォーム上で一気通貫に完結する体制が整いました。
LegalOn導入前後の契約書管理フローの変化
「LegalOn」導入後、どのような成果がありましたか。
契約審査業務を「LegalOn」に集約したことで、ツール間を行き来する必要がなくなり、情報の分散が解消されました。審査依頼の件数は増加傾向にありますが、それでもなお少数で契約審査業務を回せており、業務基盤そのものが大きく変わったと感じています。
特に役立っているのが、「マターマネジメント」の「タイムライン」機能です。以前は、案件ごとの背景や交渉経緯を自身の記憶に頼る場面も少なくありませんでした。しかし、複数業務を並行して進める中で、それには限界がありました。
現在は、契約に関する判断や交渉履歴を時系列で整理・蓄積できるため、情報を追いやすくなり、対応の一貫性も高まりました。この点も大きな導入効果だと感じています。
「マターマネジメント」の「タイムライン」では、案件関係者とのやりとりや添付ファイル、担当変更などの履歴を時系列で管理できます。公開タイムラインは案件閲覧者全員が確認可能で、非公開タイムラインは法務部内限定の内部コミュニケーション用途として利用できます。(※ 画像はイメージです)
その他、便利に使っている機能はありますか。
PDF化された契約書をアップロードし、テキストデータとして活用できる機能は非常に便利です。例えば、相手方からPDF形式のみで修正案が届いた場合や、Wordデータが残っていない過去契約を巻き直す際でも、「LegalOn」上ですぐにドラフティング作業へ移れます。OCR(光学的文字認識)の精度も高く、変換後のデータに誤りがほとんどないため、作業スピードの向上にもつながっています。
また、「LegalOnテンプレート」に収録されている弁護士監修のひな形も日常的に活用しています。信頼できる標準的なひな形が揃っていることで、一から作成する負担を減らし、その分、自社基準に合わせた調整や実務的な検討に時間を使えるようになりました。
「LegalOnテンプレート」では、弁護士監修の契約書や規約など2000点以上のひな形を利用可能。豊富なテンプレートから目的に合ったひな形をすぐに選べるため、契約書作成の効率化と品質の標準化を同時に実現できます。(※ 画像はイメージです)
契約書の先にある「法務のワンストップ化」。テクノロジーが広げる組織の可能性

「LegalOn」に対して、今後どのようなことを期待していますか。
グループ総務部では、契約審査にとどまらず、コンプライアンス対応や社内規程の管理など、広範なリーガルリスクマネジメントを担っています。将来的には、こうした業務も含めて一つのシステム上で管理できる環境が整えば、非常にありがたいですね。
例えば、許認可、特に全国規模での給排水工事関連登録の期限・更新管理についても、現状は専用ツールとExcelを併用しています。こうした周辺業務まで「LegalOn」上で完結できれば、法務業務全体のリスク管理と生産性はさらに高まるはずです。
単なる契約業務支援にとどまらず、法務実務全体を支えるプラットフォームへ進化していくことに期待しています。
法務組織としての今後のビジョンを教えてください。
当社では、一人ひとりの特性に応じた業務設計や、長期的な就労定着に向けた環境整備を進めています。グループ総務部でも、社内公募などを通じて、多様なバックグラウンドを持つ人材に法務実務へ挑戦する機会を提供しています。
「LegalOn」を活用すれば、学びながら実務経験を積める環境づくりも可能になります。テクノロジーの力で法務業務へのハードルを下げ、社内にいながら新たな領域へ挑戦できる環境を整えることで、セカンドキャリアを含めた多様なキャリア形成を後押しできる組織にしていきたいと考えています。
「LegalOn」をどのような企業におすすめしたいですか。
法務は、成果や改善効果を定量化しにくい領域ですが、「LegalOn」はリスクマネジメントや情報収集の面で非常に有用だと感じています。例えば、契約不適合責任のような重要条項について自社基準を検討する際も、必要な情報を効率よく収集でき、判断の質を高めることができます。
特におすすめしたいのは、少人数体制や兼務で法務を担っている企業です。案件の進捗管理やナレッジ共有がしやすく、属人化の防止や引き継ぎの円滑化にもつながります。業務全体を可視化できる点は、オペレーション改善を進めたいマネジメント層にとっても大きな価値になるはずです。
(取材日:2026年4月)※掲載内容は取材当時のものです。