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“記憶頼み”の契約管理から脱却 事業部内契約担当組織が実現した判断の高度化と高速化

“記憶頼み”の契約管理から脱却 事業部内契約担当組織が実現した判断の高度化と高速化

LegalOn 製造・メーカー

日清紡ケミカル株式会社

事業統括部 事業統括第1課

POINT
  • 法務課題:契約管理が記憶と手入力台帳に依存し検索性が低く、属人化と確認作業の非効率が課題に
  • 導入経緯:契約管理の限界を背景にLegalForce等を導入後、判断高度化と効率化を目的にLegalOnへ移行
  • 導入効果:契約審査の平均対応時間を36時間から25時間へ約11時間短縮、教育負担軽減と知識底上げを実現
  • 活用事例:AIレビューや類似契約レコメンド、比較機能、履歴管理により審査精度向上と契約管理の一元化を実現

(取材日:2026年3月9日)※掲載内容は取材当時のものです。

日清紡ホールディングス傘下で化学品事業を担う日清紡ケミカル株式会社。契約書管理に課題を抱えていた同社は、2022年にAIレビューサービス「LegalForce」とAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」を導入。2025年4月には法務AI「LegalOn」へ移行し、現在「レビュー」「LegalOnテンプレート」「コントラクトマネジメント」を利用しています。法務専任ではない組織が「LegalOn」を武器に、どのように事業判断の質を高め、専門知識をスピーディーにキャッチアップしているのか。具体的な取り組みについて、事業統括部事業統括第1課の担当者にお話を伺いました。

素材メーカーの技術資産を守る防衛ライン

御社の事業内容について教えてください。

当社は日清紡グループの化学品事業を担う機能性材料メーカーです。「断熱」「カーボン」「燃料電池」「機能化学品」の4分野を柱に、ノンフロン発泡技術による断熱材や、半導体・電気分野を支える炭素材料、環境負荷低減に貢献する燃料電池用セパレータや樹脂用添加剤などを展開しています。

法務業務を担当する組織について教えてください。

当社には法務専任の部署がなく、経営企画や業績管理、公的研究の運営管理などの業務との兼務です。契約業務については、私たち事業統括部事業統括第1課が契約書のレビューから管理までを担っています。事業部門からの依頼を一次審査し、その後、親会社である日清紡ホールディングスの法務部門へ連携する体制です。

現在は4名の担当者が中心となり、それぞれの知見を活かして業務にあたっています。知財分野に長く携わってきたベテランや、親会社での審査経験を持つ者、計数管理や資料作成といった実務と並行して数年のキャリアを積んだメンバーなど、バックグラウンドはさまざまです。導入初期から「LegalForce」「LegalForceキャビネ」に触れてきたメンバーもおり、多様な視点とAIを組み合わせることで、審査精度の向上を図っています。

取り扱う契約の種類や審査件数を教えてください。

年間約200件を審査しており、主にNDAや取引基本契約を扱います。国内案件が中心ですが英文契約も含まれ、新規と既存の割合はおおむね半々です。

当社の素材が顧客側で製品化される際、特許などの権利を独占されると他社への展開に支障が出るため、不利な条件がないかは必ず確認しています。また、同業他社とNDAを結ぶ際は、技術情報の混同(コンタミ:contamination)が起きないよう注意しています。 

「記憶」と手入力台帳による管理の限界

「LegalOn」導入までの経緯を教えてください。

以前は契約書をデータ化してサーバーに保管し、手入力の台帳で管理していました。しかし検索性が低く、過去の契約や条文を参照する際は、担当者の記憶を頼りに社名から検索するしかありませんでした。この「管理の属人化」が、組織としての大きな課題でした。

特に取引基本契約は、全業種対応の汎用的なひな形を使用していたため、案件ごとに必要な条項・不要な条項の取捨選択が必要でした。そのため、毎回同じ業種の過去案件を確認する必要があり、探し出すだけでも多くの時間を要していました。

こうした状況に限界を感じ、2022年1月に「LegalForce」と「LegalForceキャビネ」を導入しました。その後2025年4月には「LegalOn」へと切り替え、「レビュー」「LegalOnテンプレート」「コントラクトマネジメント」の各モジュールを導入しました。

契約審査は親会社へエスカレーションする運用の中で、「レビュー」や「LegalOnテンプレート」を導入した理由は何ですか。

私たちは、事業部と親会社の法務の橋渡し役ですが、単なる取次では役割を果たせません。ビジネスのバランスを取りながら、相手方にどこまで主張・譲歩するかを判断しなければならず、法務専門家がいない組織にとって非常に大きな負担になっていました。

「LegalOn」の導入により、条文のチェックポイントや解説が可視化され、業務は大きく効率化しました。アラートを通じて「なぜこの条文が必要か」「法改正にどう対応すべきか」が理解できるため、事業部への説明に説得力が生まれ、親会社の法務部門に対しても「こういう意図でこの条文を作ってほしい」と解像度の高い依頼が可能になりました。結果として、三者間のコミュニケーションが非常にスムーズになったと感じています。

案件ごとの対応時間が平均11時間短縮

契約審査業務のフローについて教えてください。

事業部がシステム経由で審査依頼を行うと、ワークフローで当課に通知が届きます。受付後は業務に偏りが出ないように担当者を決め、ヒアリングで詳細情報を補完した上で、基本的には「LegalOn」の「レビュー」機能を使って一次チェックを実施します。

その後、親会社の法務部門へエスカレーションし、戻ってきた内容を課長が確認して事業部へ戻す、という流れです。相手方との交渉は依頼部門が担当し、合意に至れば当課が押印などの締結実務を行います。最後に、締結済みの契約書を「コントラクトマネジメント」に格納します。

「LegalOn」導入の成果・効果はありましたか。

大きな成果として、契約審査業務のスピードが大きく向上しました。1案件あたりの平均対応時間が36時間から25時間へと、約11時間も短縮できました。また、AIのリスク指摘やそれに付随する解説は、新人・若手教育にも非常に役立っています。解説がわかりやすいため、教える側・教わる側双方の負担が減り、組織全体の知識の底上げにつながりました。

「レビュー」モジュールの結果画面。指摘事項内の[関連情報]をクリックすると、指摘理由や法的背景などの解説を確認できる。(※ 画像はイメージです)

契約書の管理面では「コントラクトマネジメント」が効果を発揮しています。以前は各事業部に委ねていた期限管理をシステムで一元化できるようになりました。更新のタイミングで通知が届くため、見落としのリスクを予防できるようになり、管理の精度と安心感が格段に向上したと感じています。

AIによる関連契約書の提示や履歴管理で契約業務の効率性と質を底上げ

「LegalOn」でお気に入りの機能などはありますか。

審査対象の契約内容に応じて類似の契約書や同じ取引先の契約書をAIがレコメンドしてくれる機能は、便利で助かっています。これまでは「この契約書、前に似た契約があったはず」と記憶を頼りに探していましたが、その手間が省け、参考となる条文をすぐに確認できるようになりました。手作業で関連契約書や類似案件を探し回る負担が軽減され、今では実務に欠かせない機能になっています。

LegalOnでは、契約書を登録すると、内容や取引先情報をもとに関連性の高い類似契約書の候補が自動で表示され、紐づけることができる機能を標準で提供しています。過去の契約や条文を素早く参照できるため、確認作業の効率化に寄与します。(※ 画像はイメージです)

その他、よく使われる機能はありますか。

「比較」機能を頻繁に利用しています。具体的な使用シーンとしては、契約審査中に自社ひな形と相手方の案と突き合わせる場合などで、不足している条文の追加や不要な項目の削除を効率的に判断できます。また、相手方が修正履歴を残さずに契約書を返送してくるケースもあるのですが、そうした場合も差分比較で変更箇所を一目で特定できます。意図しない条文の書き換えを見落とすリスクも防げるようになりました。

リスク回避やトラブル防止のため工夫されていることはありますか。

修正時の履歴管理を徹底するようにしています。「LegalOn」では契約単位で「特記事項」をメモ的に記録しておけるため、そこに契約書の各バージョンで何を修正したかをメモとして残しています。これにより交渉の経緯が一目で分かり、レビューが長期化しても当時の意図をすぐに確認でき、情報の散逸や認識のズレを防げるようになりました。

事業理解を深めてメンバー全員がマルチに成長

AIの活用を含め、組織の今後のビジョンや目標を教えてください。

私たちは契約が事業にどう貢献するかという視点を重視しています。「LegalOn」で法的な知識やナレッジを補うことで事業理解が深まり、経営層へのより良い提案にも繋がると考えています。今後の目標は、メンバー全員がマルチに成長することです。AIを活用しながら法的な専門性を効率的にキャッチアップしつつ、事業成長を見据えた高度な判断ができる組織を目指します。

事業部門が「LegalOn」を活用する価値についてはどのように捉えていますか。

法務専任でないからこそ、「LegalOn」の活用は重要です。AIのサポートがあれば、正しい事業判断に欠かせない法的視点を効率的に養えます。法務部門が別にあって頼れる状況でも、自分たちでリスクを正しく理解し、納得感を持って迅速に判断できる体制づくりに大きく寄与しています。

LegalOnをどのような企業にすすめたいですか。

法務担当者が少ない組織には非常に有効だと思います。AIが契約業務を的確にサポートしてくれるため、大幅な時間短縮に繋がります。限られたリソースで精度とスピードを両立したい企業には、特におすすめしたいですね。