AIアシスタントを“相棒”に、少数精鋭の業務変革 契約審査の高度化と創造的業務へのシフトを実現
株式会社ナ・デックス
法務部 部長 源川佳世 様 法務部 林﨑滉 様
- 法務課題:2名体制で月50〜100件の契約審査に対応しており、負荷が集中
- 導入経緯:AIに形式確認を任せ、人が本質的な判断に注力するためLegalOnを導入
- 導入効果:AIによるリスク洗い出しや差分ハイライトで確認作業を効率化し、事業リスクの検討に集中できる体制を実現
- 活用事例:条文意図や修正方針の壁打ち、リスク抽出、修正条文案の作成など、契約審査の各場面でLegalOnアシスタントを活用
商社とメーカーの機能を併せ持ち、独自の溶接技術とFA(Factory Automation)システムで自動車産業を中心に世界中のものづくりを支える株式会社ナ・デックス。同社は2026年1月、AIレビューサービス「LegalForce」から法務AI「LegalOn」へ移行し、現在「レビュー」「LegalOnテンプレート」「ユニバーサルアシスト」「LegalOnアシスタント」の各モジュールを導入しました。法務部の源川部長と林﨑様に、「LegalOn」がもたらした業務変革と、これからの法務パーソンに求められる思考のあり方についてお話を伺いました。
2名体制で月約100件の契約審査に対応
源川様
御社の事業内容について教えてください。
源川様 当社は、産業機器や電子部品を扱う「商社」機能と、抵抗溶接制御装置で業界トップクラスのシェアを誇る「メーカー」機能を併せ持つ企業です。豊富なネットワークと確かな技術力を有機的に結びつけ、お客様に最適なソリューションを提供できる点を強みとしています。2025年に設立75周年を迎え、現在は商社とメーカーという二つの側面から、多角的な事業を展開しています。
法務部門の体制や主な業務内容についてお聞かせください。
源川様 法務部は現在2名体制で、業務の約半分を契約審査業務が占めています。そのほか、知的財産管理や法務相談対応、リスク管理、社内規程の整備、コンプライアンス研修の企画・運営など幅広く担っています。私は主にマネジメントの観点から契約業務に関わり、実務の多くは林﨑が担当する体制で、迅速な対応を心掛けています。
林﨑様 契約審査は月50から100件ほどで、主な類型は取引基本契約、秘密保持契約書、業務委託契約などです。当社は商社機能とメーカー機能を併せ持つため、同一の契約類型であっても、自社の立場や取引構造に応じてリスクの捉え方や検討すべき論点が大きく変わります。そのため、形式的なチェックにとどまらず、事業背景や契約の目的を踏まえた実質的なリスク評価を重視した審査を行っています。
お二人のキャリアについて教えてください。
源川様 前職の食品メーカーでは営業やマーケティングを担当していました。2011年に語学力を活かせる経営企画室に入社しましたが、当時は独立した法務組織がなく、兼務として契約審査に携わったのが法務キャリアの出発点です。以来、通算で15年ほど契約実務に携わっています。
林﨑様 私は法学部卒業後、銀行に勤務していました。当時は法務とは無縁の業務に就いていましたが、5年前に当社へ転職したことを機に、未経験で法務の世界に入りました。現在は法務キャリア5年目です。
求められる「メーカー×商社」の多角的視点
林﨑 様
業界特有の論点や商慣習などはありますか。
源川様 当社はメーカーと商社の両面を持つため、案件ごとに観点を切り替える必要があります。メーカー視点では、共同開発における知的財産の帰属やライセンス条件など、将来的な事業展開や収益化までを見据えた権利関係の設計が重要になります。
一方、商社視点では、仕様合致や検収基準、契約不適合責任の範囲など、取引の履行確実性とリスク分配の適正化を重視します。ビジネスモデルや事業フェーズに応じて、知財、ソフトウェア、物流といった複数の観点からリスク構造を捉え直し、観点を柔軟に切り替えることが求められる点が、当社法務の特徴です。
2023年4月にAIレビューサービス「LegalForce」を導入されています。背景を教えてください。
林﨑様 契約審査における条ずれや表記揺れといった形式的な確認作業をAIに任せ、人が本来注力すべき業務に時間を割くことが目的でした。実はそれ以前に他社ツールを約2年利用していましたが、画面上の視認性や操作導線といったUI面に加え、レビュー結果の提示方法や解説の分かりやすさにおいて「LegalForce」のほうが優れていると感じていました。さらに、弁護士監修の修正案や解説が充実しており、単に修正指摘を受けるだけでなく、「なぜその修正が必要なのか」という背景や考え方まで理解できる点で、ナレッジの蓄積や若手・未経験者の教育にも活用できると考え、移行に至りました。
源川様 実はそれ以前の2018年頃、御社の創業期に、あるイベントで角田社長のお話を伺っており、それが「LegalForce」を知るきっかけでした。まだAI契約書レビューが一般に認知されていない時期でしたが、その頃からすでに「AIで法務の働き方を変える」というビジョンを強く打ち出しており、それに共感したことも、最終的に導入に至った理由です。予算の関係で実現には時間を要したのですが……。
当時は一人法務で誰にも頼れない状況だったため、弁護士の卓越した知見をシステムとして活用できる構想に大きな可能性を感じていました。AIを“相棒”として活用できる点に、早くから期待を寄せていました。
法務特化型AIで安全かつ高度な実務を

その後、2026年1月に法務AI「LegalOn」へ移行されましたね。
林﨑様 はい。決め手は、法務特化型AIアシスタントである「LegalOnアシスタント」です。契約書の内容を前提にした高度な対話が可能である点や、文言修正・リスク抽出・条文間の整合性確認といった一連の実務を一つの環境で完結できる点に大きな魅力を感じました。
また、汎用的な生成AIとは異なり、機密保持を前提とした設計となっているため、契約書をそのままアップロードし、固有名詞を伏せることなく利用できる点も導入判断の大きな要因となりました。
先日、特殊な契約を一から作成した際も、「LegalOnテンプレート」のひな形と自社の過去案件を参照しながら、AIと壁打ちする形で条文の意図を一つずつ確認できました。未知の領域であっても、相談から作成まで伴走してくれる頼れる存在です。
契約書や法務業務に関する質問・指示をAIにチャット形式で行える法務特化のAIアシスタントである「LegalOnアシスタント」。契約書の要約、条文の説明、翻訳、修正指示などを対話形式で手軽に実行できます。(※ 画像はイメージです)
契約審査の業務フローについてお聞かせください。
林﨑様 まず、依頼部門が契約書と「事前確認シート」をメールに添付し、法務部に審査を依頼します。情報の可視化と記録のため、原則としてメールでの依頼のみ受け付けています。依頼受付後は事前確認シートをもとに、必要に応じてヒアリングを行い、情報が揃った段階で「LegalOn」にアップロードして一次レビューを実施します。その後、修正案を作成して事業部へ戻し、先方との交渉を経て締結、法務部で原本とPDFデータを保管する流れです。案件はフォルダで管理していますが、過去案件の検索性向上やナレッジ活用が今後の課題です。
スピード感のある機能改善で日々の実務がさらに快適に

LegalOn導入で具体的な成果・効果はありましたか。
林﨑様 「LegalOnアシスタント」により、契約書の整合性チェックの精度が大きく向上しました。文章を整えるなど形式的な作業をAIに任せることで、事業リスクの検討に集中できるようになりました。
また、契約書の検討においては、条文ごとに「この条文の意図は何か」「他案件との違いは何か」「本件に適した形にするにはどう修正すべきか」といった観点でAIに問いかけながら、壁打ちする形で思考を整理しています。
「比較」機能では変更箇所がハイライトされるため、一言一句を対比していた以前に比べて差分チェックの負担が大幅に軽減されています。また、「ユニバーサルアシスト」で多言語レビュー・翻訳に対応できるようになり、最近ではベトナム語の契約書の翻訳・リスクチェックにも活用しました。
さらに、自社独自の審査基準をあらかじめ登録しておける「プレイブック」や、指摘されたリスクや改善点に基づき修正後の条文案をAIが提示・修正してくれる「AI Revise」などの機能も組み合わせることで、業務効率化が着実に進んでいると実感しています。
特に「LegalOnアシスタント」を有効に活用されていますね。
林﨑様 非常に汎用性が高く、実務で迷った際はまず相談する使い方が定着しています。機能改善やアップデートのスピードも速く、契約当初に比べて回答精度・速度ともに向上しています。「Wordアドイン」機能の強化なども含め、日々使い勝手が良くなっていくのを実感しています。
また、「LegalOnアシスタント」は単独のツールとしてだけでなく、他の機能と組み合わせて活用することもでき、業務の流れの中でシームレスに使える点も大きな利点だと感じています。例えば、英文契約書や英文メールの翻訳でも、Google翻訳や「ユニバーサルアシスト」と併用し、多角的に確認しています。複数の手段を組み合わせることで、解釈の確実性をより強固に担保できるようになりました。使い込むほど業務に馴染み、まさに手放せない「相棒」へと進化し続けていると感じます。
その他、導入効果を実感されている機能はありますか。
源川様 リーガルリサーチAI「Legalscape」をよく利用しています。事業部門などからの抽象的な相談への対応や、規程ドラフト作成時の抜け漏れ確認に有効です。最近では、当社の事業領域とは馴染みが薄い法律について照会があった際、具体的な状況を質問することで的確に対応できました。根拠となる出典を確認しながら進められるため、情報の信頼性にも安心感があります。
AIと共創する次世代の法務組織へ

法務組織の今後のビジョンや目標を教えてください。
源川様 将来的には、AIが一次レビューを担い、人が二次レビューする体制構築を目指しています。定型業務をAIに委譲できれば、全社課題への対応やより創造的な業務に時間を充てられると考えています。私たちは2名体制という少数精鋭だからこそ、ツール導入の効果が見えやすく、AI活用を前向きに進めやすい環境にあります。
「AIに仕事が奪われる」という声もありますが、当社ではむしろ逆です。AIに任せられる業務は積極的に委ね、人は高付加価値な業務へシフトしていく。その実現こそが私たちの目指す姿です。
どのような企業にLegalOnをすすめたいですか。
林﨑様 法務経験が浅く、知識不足に悩む若手・未経験の方におすすめです。整合性などの形式的なチェックをAIに任せられるだけでなく、実務のポイントを学びながら業務を進められます。すべての法令や契約類型を自力で網羅することは現実的ではありません。だからこそ、基礎を押さえた上でAIを使いこなし、実務の中で判断力を磨いていくことが重要です。AIを活用しながら経験を積み、着実にスキルを高めていきたい方に適したサービスです。
源川様 役職やキャリアを問わず、「自ら考え、業務をより創造的にしたい」と考える方におすすめしたいですね。重要なのは、AIを“相棒”として主体的に使いこなす意識です。定型業務を自動化し、その先の価値創出に時間を使いたい方にとって、「LegalOn」は大きな武器になるはずです。
今後、機械で代替可能な業務は減っていくでしょう。だからこそ、人は自社の歴史や文化、取引先との関係性といった「人間にしか理解できない領域」を深く理解し、付加価値の高い判断に集中するべきです。定型的な業務にとどまるのではなく、その人ならではの発想を形にしていく。そのような志向を持つ方に、ぜひ活用していただきたいです。
(取材日:2026年4月)※掲載内容は取材当時のものです。