属人化を排し、ナレッジを組織の資産へ 「LegalOn」で余力を生み、事業領域での価値創出組織へ構造転換
株式会社デンソーテン
法務室 ビジネス法務課 國弘理央 様
- 法務課題: 契約審査や法律相談の履歴がメール・チャット・案件管理システムに分散し、担当者依存のナレッジ蓄積や過去案件の活用に課題
- 導入経緯: ナレッジを組織資産として蓄積・検索できる環境と、契約審査から法律相談までを一元管理できる将来性を評価し導入
- 導入効果: AIレビューや条文検索の活用により契約審査1件あたり約15%の工数削減を実現し、法務担当者がより付加価値の高い業務へ注力できる基盤を構築
- 活用事例: マターマネジメントで法律相談の受付・ナレッジ蓄積を進めるほか、AI Reviseや条文検索、英文契約の対照表作成機能を活用して審査品質の平準化と業務効率化を推進
車載用電子機器やサービスを通じて、人とクルマと社会をつなぎ、安心・安全・快適なモビリティ社会の実現に取り組む株式会社デンソーテン。同社は2024年7月にAIレビューサービス「LegalForce」を導入し、2025年10月に法務向けProfessional AI「LegalOn」へ移行しました。現在は「マターマネジメント」「レビュー」「LegalOnテンプレート」「ユニバーサルアシスト」を活用しています。
以前は案件管理の属人化や蓄積されたナレッジの活用に課題を抱えていましたが、「LegalOn」の導入で契約審査1件あたり約15%の工数削減を実現し、法務の付加価値向上につなげています。ビジネス法務課の國弘理央様に、導入の背景や具体的な活用方法、AI時代を見据えた法務組織のビジョンについて伺いました。
次世代モビリティを支える、専門性の高い法務体制

御社の事業内容についてお聞かせください。
当社は、人とモビリティと社会のインターフェースを創造する「モビリティソリューションパートナー」を目指す企業であり、車載ナビやドライブレコーダーなどを扱う「HMIソリューション事業」と、次世代の電動化・自動運転化に不可欠な制御系技術を提供する「電子・電動化事業」を主軸としています。
近年は、通信型ドライブレコーダーを活用した安全運転管理テレマティクスサービス「Offseg(オフセグ)」や、ダイハツ工業様の電動モビリティ「e-SNEAKER」に採用いただいた、小型モビリティやロボティクスにも対応可能な「標準仕様VCU(車両制御ユニット)」を開発。長年培ってきた車載技術を活かし、クルマと人と社会をつなぐ大規模ECU(電子制御機器)でモビリティの社会課題を解決することに挑戦しています。
法務部門の組織体制について教えてください。
契約審査をはじめとする法務実務は、法務室のビジネス法務課が担っています。現在は6名体制で、そのうち5名が契約審査に携わっています。
私は2017年に新卒で入社して以来、一貫して法務に従事してきました。株主総会やM&Aなど会社法領域の業務を経験した後、2020年からはビジネス法務全般を担当し、2022年以降は主に電子・電動化事業本部の案件を中心とした契約審査や、法務室全体のAI・DX推進、業務改革を担当しています。
取り扱う契約書の件数や類型についても伺えますか。
年間の契約件数は約1500件で、そのうち750件ほどが法務審査案件です。業務全体の約半分を契約審査が占め、残りは各事業部への法的助言や支援、電子署名のサポートなど多岐にわたります。
契約類型としては、OEMメーカーとの製造委託契約や開発委託契約、ソフトウェアライセンス契約が中心です。親会社のデンソーや、資本関係のあるトヨタ自動車との契約も少なくありません。Tier1としての契約においては、一方にリスクが過大にならないように補償や権利関係について特に重視しています。近年は売上拡大に伴い、案件数や案件規模も増加傾向にあります。
「ナレッジの資産化」と「管理工数の削減」が急務に
「LegalOn」導入前は、どのような課題がありましたか。
従来契約審査においては「LegalForce」と併せて別の案件管理システムを使用しています。しかし、当該システムは「台帳」としては優れている一方、メールやチャットといった非定型コミュニケーションを蓄積・活用する機能が弱く、相談から回答までのやり取りをナレッジとして残しづらい状況です。
また、検索機能にも限界があり、長年積み重なった変更覚書など複雑な経緯を正確に追うことが困難で、他方で契約審査に該当しない問い合わせについてはメールやチャットで個別に受け付けていましたので、担当者ごとの対応状況が見えにくく、案件の見逃しやナレッジ共有の停滞といった課題も抱えていました。
さらに、従来システムは管理設定に工数がかかり、運用には一定の習熟が必要でした。その点、「LegalOn」は事前設定の負担が少なく、マニュアルがなくても直感的に操作できる点に魅力を感じました。
その他、どのような点に「LegalOn」の優位性を感じましたか。
特に優位性を感じたのは、「レビュー」機能の質の高さと、直感的に使えるUIです。「LegalOn」は単なるリスクの指摘にとどまらず、「なぜリスクなのか」という解説や関連条文まで提示してくれるため、実務を進めながら法務スキルを磨くことができます。特に若手社員にとっては、優れた教育ツールになると感じました。
当課には新卒社員からベテランまで幅広い世代が在籍していますが、「LegalOn」を介することで世代間の知識継承も円滑になると期待しています。他社製品もトライアルしましたが、「LegalOn」は操作に迷う場面が少なく、操作性の面でも洗練されている印象でした。
導入の決め手は何でしたか。
決め手の一つは、過去の契約書を横断的かつ確実に検索できる点です。加えて、一連のワークフローを一つの環境で完結できる使いやすさにも魅力を感じました。
「マターマネジメント」を活用することで、相談内容や関連資料などが自動的に集約され、一画面で業務を進められます。現時点の機能だけでなく、今後の開発や発展性にも期待できたことから、総合的に見て最も将来性を感じたサービスでした。
審査工数を15%削減。効率化と品質の平準化を両立

「LegalOn」導入前の業務フローを教えてください。
後でも述べますが、契約審査のフロー自体は導入前後で変更はありません。
審査依頼は、事業部が案件管理システムの専用フォームから審査依頼を行い、契約書をアップロードしたのち、必要情報を登録して行います。その後、ビジネス法務課が案件を受領し、担当者が任意で「LegalForce」でレビューを実施。審査後は法務室長の確認・承認を経て事業部へ回答し、最終決裁後に総務部主管の押印手続きへ進む流れです。
一方で、契約審査以外の法務相談全般はメールやチャットで個々に受け付けていました。
なお、当時は電子契約の割合が全体の約3割で、大手企業以外との取引では紙契約も多く残っていました。締結後の原本管理は各部門が担当し、法務側では電子データを集約して管理していました。
「LegalOn」導入後、業務フローはどのように変わりましたか。
現在は従来の案件管理システムと「LegalOn」を併用しており、今後は後段の契約審査以外の契約相談・法律相談の窓口として、「マターマネジメント」の案件受付フォームを活用していく方針です。ただ、既存システムには膨大な過去データが蓄積されているため、移行負担や利用者の慣れも考慮し、当面は契約審査フローとは別に、並行して運用を続ける予定です。
まずは法律相談案件について、「マターマネジメント」を活用し、情報・ノウハウを蓄積・検索できる体制づくりを進めています。
「マターマネジメント」の強みは、相談内容に応じてフォームを柔軟に使い分けられる点です。現在は部門ごとに5種類程度のフォームを整備し、運用を進めています。案件受付後の基本フロー自体に大きな変更はありませんが、入口を整理することで、より効率的な運用を目指しています。
「マターマネジメント」の案件受付フォームは、依頼内容や受付部門ごとに複数作成・使い分けが可能。契約審査、法務相談、押印申請など用途別に最適な入力項目や保存先を設定でき、案件受付の標準化と振り分け効率化を実現します。(※ 画像はイメージです)
LegalOn導入後の契約書管理フローおよび契約相談/法律相談フロー
「LegalOn」の導入効果について教えてください。
本部長への説明時には、「LegalOn」の活用によって、契約審査1件あたり約15%の工数削減効果を見込めると試算しました。実際の運用でも、AIレビューや条文検索などを通じて、単純作業の効率化を実感しています。
多彩なモジュールを活用し、高度な法務実務を支援
ここからは各モジュールの活用状況について伺います。まず「レビュー」機能は実務の中でどのように利用されていますか。
「LegalForce」には備わっていなかった、契約書の修正案を自動で提案・適用する「AI Revise」は非常に便利で、特に表記揺れの修正などで活用しています。さらに、レビュー結果と標準機能の「比較」機能と組み合わせて過去案件との差分を確認したり、「条文検索」機能を使って自社の過去案件や「LegalOn」の汎用ひな形を参照したりと、案件に応じて使い分けています。
今後は、担当者ごとの審査基準のばらつきを解消するため、自社基準によるAIレビューを実現するための「プレイブック」の活用も進める予定です。独自の判断基準やベテラン社員のノウハウを反映させ、ナレッジ継承と審査品質の平準化につなげたいと考えています。
「LegalOnテンプレート」は、主にどのような場面で活用されていますか。
経験のない分野の案件を担当する際は、まず「LegalOnテンプレート」で類似ひな形を確認しています。契約書だけでなく社内規程のテンプレートも充実しているため、未知の領域でも安心して業務を進められます。信頼できる土台があることは、大きな助けになっています。
「ユニバーサルアシスト」の活用シーンについても教えてください。
案件全体の約3~4割を英文契約が占めており、ソフトウェア関連の契約が多く含まれます。それらに対し、主に和英対照表の作成や翻訳のために活用しています。特に対照表作成機能については、担当者確認用のものをExcel形式で簡便に出力できるため、複雑な契約内容を迅速に把握するうえで欠かせない機能となっています。
7月に「LegalOnアシスタント」を導入いただく予定ですが、導入の経緯を教えていただけますか。
はい。2月に1カ月間のトライアルを実施し、有用性を実感しました。汎用的な生成AIと比べて法務実務向けに最適化されており、回答の正確性や再現性が高いと感じています。また、回答がコンパクトで理解しやすく、単に結論を示すだけでなく、「なぜその判断になるのか」を考えるための材料まで提示してくれるため、思考を深めやすい点も魅力です。
具体的な機能としては、チャットで修正方針を伝えるだけでAIが修正案を作成、履歴の残る形で反映までしてくれる「Direct Edit」に大いに期待しています。
チャットで修正の方針を伝えるだけで、AIが条文案を自動生成する「LegalOnアシスタント」の「Direct Edit」機能。Wordの変更履歴もそのまま維持されるので、修正内容の確認が容易で、手作業の転記ミスもありません。(※ 画像はイメージです)
また、すでに導入しているデンソーとも情報交換を進めていますが、契約書をチャットベースで横断検索できる機能には大きな可能性を感じています。契約書要約などの機能も含め、法務実務に即した高度な支援を期待し、7月の正式導入を予定しています。交渉相手に見立てたり、契約内容をブラッシュアップしたりすることを考えています。
そのほか、日常業務で役立っている機能があれば教えてください。
契約書の「バージョン管理」機能(標準搭載機能)も非常に便利です。複数バージョンを保持しながら比較でき、全文だけでなく条文単位での差分比較も可能です。過去の修正経緯を追う工数が大幅に減り、実務効率の向上につながっています。
AIで創出した時間を、事業への「前がかりな貢献」へ

法務組織の今後のビジョンや目標を教えてください。
まずは「マターマネジメント」による受付窓口の一本化と全社展開を進め、蓄積した知見を「LegalOnアシスタント」で横断検索できる体制を構築したいと考えています。ナレッジ継承の円滑化と、早期戦力化の実現が狙いです。あわせて、自社基準となるプレイブック整備も着実に進めていく方針です。
AI活用が不可避となる時代において、法務担当者には「人間ならではの価値」がより強く求められると感じています。「LegalOn」を積極活用して時間を創出し、その分、事業部門と深く関わることに注力したいと考えています。
事業に前がかりで参画し、価値を生み出すことは、人にしかできない役割です。一流の法務とは何かを問い続けながら、組織全体で事業成長に貢献していくことが、私たちの目標です。
LegalOnをどのような企業にすすめたいですか。
まずは、一人法務の企業におすすめしたいです。業務効率化だけでなく、属人化を防ぎ、後任へ確実にナレッジを引き継ぐ基盤として、「LegalOn」は非常に有効だと思います。
また、長い歴史を持ち、膨大な契約書が蓄積されている企業にも適しています。知見が蓄積されていても、活用されず“化石化”しているケースは少なくありません。それらを検索可能な形で整理し、実務に活かせる資産として次世代へ継承していく――。そうした体制づくりを目指す企業にとって、「LegalOn」は強力な支援ツールになるはずです。
(取材日:2026年4月)※掲載内容は取材当時のものです。