契約審査受付と進捗管理のフローが劇的に改善 見落としや案件滞留がほぼゼロに
BuzzFeed Japan株式会社
BuzzFeed Japan株式会社 Corporate Division VP of Finance, HR and Legal 阿部真弓 様 法律事務所Blue Works Law パートナー弁護士 小出将夫 様
- 法務課題:メールやチャットで分散した契約審査受付と手動管理による抜け漏れ・滞留リスク、進捗把握の属人化
- 導入経緯:限られた人員で生産性向上を図るためAIレビューサービスを導入し、将来性と信頼感を評価してLegalOnへ移行
- 導入効果:マターマネジメントで受付から進捗管理までを一元化し、案件滞留ほぼゼロを実現、管理工数を大幅削減
- 活用事例:マターマネジメントによる案件可視化、LegalOnテンプレートでのドラフト作成、レビュー機能を活用した前さばき体制の構築
「BuzzFeed Japan」「ハフポスト日本版」などのウェブメディアを運営し、日々膨大な情報を発信し続けるBuzzFeed Japan株式会社。同社は2024年4月にAIレビューサービス「LegalForce」を導入し、2025年5月には法務AI「LegalOn」へと移行しました。現在は「マターマネジメント」「レビュー」「LegalOnテンプレート」「ユニバーサルアシスト」「LegalOnアシスタント」といったモジュールをご利用いただいています。Corporate Divisionの阿部真弓様と、業務委託で契約実務を担当する弁護士の小出将夫様に、LegalOnの具体的な活用方法や導入効果などについて伺いました。
メディアの最前線を支える「外部連携型」の法務体制
Corporate Division VP of Finance, HR and Legal 阿部真弓 様
まずは御社の事業内容について教えてください。
阿部様 当社は、米国BuzzFeed社とヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)の合弁として2015年に設立されました。現在は「BuzzFeed Japan」「ハフポスト日本版」「Tasty Japan」「BuzzFeed Kawaii」の4媒体を軸にニュース、エンターテイメント、カルチャー、生活情報など、幅広いジャンルのコンテンツを発信しています。「BuzzFeed Japan」は今年で創刊10周年を迎え、節目の年でもあります。
お二人のキャリアについて伺えますか。
阿部様 私はメーカー2社を経てヤフーに入社し、M&Aやコーポレート分野で多様な事業を経験してきました。ヤフー時代にBuzzFeed Japanの設立に携わり、2020年に同社へ入社しました。現在はコーポレート部門の責任者として、法務だけでなく経理、人事、総務、経営戦略など管理部門全般を管掌しています。
小出様 私は弁護士登録後、約12年前に当時のヤフーにインハウスロイヤーとして入社しました。実はロースクール時代のエクスターンシップ(実習)でお世話になったのが阿部さんで、そこからのご縁です。ヤフーではM&Aやメディア事業の法務を担当し、その後、法律事務所で国際法務を経験したのち、今の事務所に参画しました。現在は業務委託という形で、BuzzFeed Japanの法務実務全般を担当しています。
現在の法務部門の組織体制と、業務の特徴を教えてください。
阿部様 私がマネージャーを務め、実務は小出先生を含む業務委託の弁護士3名と、アシスタント1名という体制です。契約審査については、ほぼすべての案件を小出先生にお願いしています。
小出様 案件の7割は自社ひな形を使う定型契約、残り3割が非定型です。ゼロから起案する契約の作成や、海外ベンダーから届く長文の英文契約の審査などは難易度が高いですね。類型では、ライターやカメラマンとの業務委託契約が多いです。成果物の著作権の帰属など、細かな調整が必要になるケースも頻繁にあります。
導入の決め手は将来性と信頼感
弁護士 小出将夫 様
2024年4月にAI契約書レビュー「LegalForce」を導入した背景を教えてください。
阿部様 前職と比較して小規模となった組織において、限られたリソースで業務を回すには、生産性の向上が不可欠だと強く感じました。生産性を高めるには、人材確保だけでなく、業務プロセスそのものを変えなければいけない。その中で、法務のオペレーションを支えるツールとしてLegalForceを採用しました。
他社サービスと比較して、どこに優位性を感じましたか。
阿部様 一番は「将来性」です。AIを活用した機能開発のスピード感や、今後のサービス展開に強い期待が持てました。また、担当者の対応が適切かつ丁寧で信頼できたことも、導入を後押しする大きな要因になりました。
実際の使い勝手はいかがでしたか。
小出様 個人的に先端技術には関心がありましたが、当初は「AIで契約書レビューがどこまで高精度にできるのか」と少し懐疑的な面もありました。ただ、実際に触ってみると、UIや周辺機能、案件管理の仕組みの完成度が非常に高く、想像以上に実務にフィットしました。
阿部様 その手応えもあり、2025年5月には、包括的な法務AI「LegalOn」へ切り替えました。現在は「マターマネジメント」をはじめ、「レビュー」「LegalOnテンプレート」「ユニバーサルアシスト」「LegalOnアシスタント」の各モジュールを導入しています。
「LegalOn」ではどの機能をよく使われますか。
小出様 日常的に使っているのは「マターマネジメント」です。審査依頼の受付や案件管理の基盤として活用しています。豊富なひな形が揃う「LegalOnテンプレート」も非常に便利です。特に助かっているのが、ホーム画面に表示される最新の法改正情報や法律事務所のレポートです。事業に関わるニュースをいち早く把握し、定例会などで共有したいので、LegalOnを開くだけで業務に必要な最新情報を自然にキャッチアップできるのは大きいですね。
「マターマネジメント」モジュールの案件一覧画面。メール等で案件依頼を受け付けると自動で起票されます。タブのカスタマイズが可能で必要な案件を素早く把握できます。(※ 画像はイメージです)
「マターマネジメント」で管理効率が飛躍的に向上

LegalOn導入前、契約審査の受付や案件管理において、どのような課題がありましたか。
小出様 以前は、事業部からの依頼がメールやチャットでバラバラと届き、受付方法が統一されていませんでした。届いた依頼はアシスタントがスプレッドシートに転記して管理していましたが、我々弁護士がほぼフルリモートなこともあり、どうしても抜け漏れのリスクがありました。
一度、ツールを使わずに案件管理を仕組み化しようと、手作業で案件管理や担当割り振ってみたこともあったのですが、スプレッドシートだけで回そうとすると業務量がどんどん増えてしまい、結果的に無駄も多く、うまく運用できませんでした。
管理側の負担も相当なものだったのではないでしょうか。
小出様 かなり大きかったです。細かな進捗は各審査担当者しか把握していないため、案件が滞留していないかを確認する際、アシスタントは都度担当者本人に聞くか、過去のメールやチャットを遡る必要がありました。
LegalOnの導入で、そのフローはどう変化しましたか。
小出様 審査依頼をメールに集約し、「マターマネジメント」で自動的に案件化されるようにしたことで、受付から進捗管理までが一気に整理されました。即答できるような軽い相談を除き、原則的にSlackなどで来た依頼も必ず一度メールに誘導し、すべての案件をシステム上に載せる運用にしています。窓口を一本化することで、抜け漏れなく案件を管理できるようになりました。
また、以前は手動での管理や進捗確認が大きな負担となっていましたが、現在は全案件のステータスがLegalOn上で一覧でき、可視化されました。滞留案件も一目で把握でき、リマインドもLegalOn上で行えるので、管理効率は格段に上がりました。
審査後の契約書は事業部に戻し、先方との交渉を経て合意、締結します。契約のほぼ100%が電子契約です。締結後はアシスタントがPDF化してクラウドストレージへ保管し、スプレッドシートの管理台帳を更新しています。
LegalOn導入前後の契約書管理フローの変化
AIを駆使した「究極の前さばき」の実現に向けて

導入後の成果・効果について教えてください。
小出様 案件の滞留はほぼゼロになりました。事業部から「あの案件はどうなりましたか」と催促されることもほとんどありません。案件管理がシステム化され、全体の手間も大幅に軽減されました。また、「LegalOnテンプレート」は、自社にひな形がない契約のドラフト作成や、社内規程を整理・改定する際に非常に有効で、作業効率が格段に上がりました。
導入前の課題はある程度解決できたということでしょうか。
小出様 そうですね。次のステップは「レビュー」機能を駆使し、アシスタントの段階でAIの力を借りながら審査の一次対応をできるようにすることです。具体的には、審査依頼のあった契約書を難易度に応じてトリアージ(選別)し、NDAや軽微な修正で済む案件は「レビュー」モジュールを活用してアシスタントが対応し、弁護士は高度な案件に集中するという仕組みづくりを目指しています。
LegalOnを活用して、業務の“前さばき”を徹底するということですね。
小出様 はい。現在はアシスタントに並走しながら育成を進めている段階です。前さばきで重要なのは、「完璧を求めすぎない」というスタンスです。案件ごとに、かけていい労力は違いますし、すべてを同じ基準で厳密に見ようとすると、かえって業務全体が回らなくなってしまいます。重要性が高くなく、相対的にリスクの低い案件については、最終的な成果物の「厳密さ」も少し下げる。そのバランスを取ることが、前さばきを機能させるうえでは欠かせないと感じています。
阿部様 すべての案件に法務が対応するのではなく、事業部自身が一次対応できる状態が、究極的な案件管理体制だと考えています。つまり、事業部が自ら契約内容をある程度判断し、必要なものだけを法務に回す。それを目指すための中間ステップとして、まずはアシスタントの育成とAI活用を進めている段階ですね。こうした形で「究極の前さばき」が実現できれば、法務はより高度な判断に集中でき、組織全体としての法務の価値もさらに高まるはずです。
スリムな組織で法務の価値を最大化する

LegalOnをどのような企業にすすめたいですか。
小出様 少人数体制やリモートワーク中心の企業には特におすすめです。対面での細かな確認がしづらい環境では案件の見落としが起きやすいものですが、システム上で運用ルールを固定すれば、滞留を確実に防げます。
また、案件数は多いものの、法務人員は最小限に抑えてスリムな組織を維持したい企業にも適しています。システムの力を借りて効率的に業務を回す仕組みを作れば、少数精鋭でもスピード感を落とさず業務を回せます。組織のバランスを保ちつつ、効率的に法務機能を最大化したいなら、LegalOnは非常に有効な選択肢だと思います。
(取材日:2026年1月)※掲載内容は取材当時のものです。