案件1.5倍増でも“増員なし”で業務を完遂 効率化の先に描く「進化する法務組織」
株式会社アルビオン
総務部 部長 小田部慎一 様 総務部 法務グループ 法務担当 竹中和子 様
- 法務課題:審査依頼の受け付け、台帳転記、契約期限管理が手作業で、案件増加に伴い事務負担と属人化リスクが拡大
- 導入経緯:案件管理から審査、締結後管理まで一元化でき、法務業務全般をカバーする機能進化を評価
- 導入効果:審査依頼件数が約1.5倍に増加しても増員なしで対応し、同じ時間内で業務を完遂できるほどの効率化を実現
- 活用事例:マターマネジメントで受付・台帳作成を自動化し、LegalOnアシスタントを修正案検討や契約書検索に活用
株式会社アルビオンは、1956年創業の高級化粧品メーカー。事業成長に伴う業務の複雑化や属人化の解消を目的に、2025年7月に法務AI「LegalOn」を導入し、現在は「マターマネジメント」「レビュー」「LegalOnテンプレート」「コントラクトマネジメント」「LegalOnアシスタント」の各モジュールを活用しています。人員を増やさず、従来の1.5倍に増加した案件への対応を実現した効率化と、AI活用で生まれた余力を「人にしかできない付加価値」へと転換する法務のあり方について、総務部の小田部様と竹中様に伺いました。
経験豊富な担当者が年間約500件の契約審査に対応
(写真左から)小田部様、竹中様
御社の事業内容について教えてください。
小田部様 当社は1956年創業の化粧品メーカーで、今年で創立70周年を迎えました。高品質な商品展開に加え、専門性の高い対面カウンセリングを強みとし、「アルビオン」「エレガンス」「イグニス」「アナ スイ」「ポール&ジョー」などのブランドを展開しています。2026年4月には公式オンラインストアも開設し、時代に即した事業展開を進めています。
法務部門の体制や、取り扱っている契約の数・種類についてお話しいただけますか。
小田部様 法務業務は総務部内の「法務グループ」が担っており、法務担当2名、知財担当2名に、グループ長と部長の私を加えた体制です。契約審査は、竹中を含む法務担当2名とグループ長の計3名が中心となって対応しています。
竹中様 取り扱う契約件数は年間約500件で、その約7割が秘密保持契約(NDA)や業務委託契約といった定型契約です。情報システムの開発・運用や販売促進、大学との共同研究に関する契約が多いのが特徴です。
お二人のご経歴と業務内容についても伺えますか。
小田部様 前職から法務に携わり、アルビオンには2003年に入社しました。入社以来法務を担当していましたが、2012年からは国際事業本部で海外事業やライセンス管理を担当し、中国子会社の総経理も経験しました。2022年に帰任後は法務部長を経て、現在は総務部長として組織全体を統括しています。
竹中様 私も前職から12~13年、一貫して法務に従事しています。現在は法務グループで契約書の作成・審査、法務相談対応、コンプライアンスなどの社内研修を担当しています。業務全体に占める契約審査の割合は約6割ほどです。
法務AIでアナログ運用から脱却し、属人化解消へ

LegalOn導入前の課題について教えてください。
小田部様 導入前は、審査依頼の受付から案件管理まで、すべて手作業でした。依頼メールの内容を台帳へ転記し、契約の有効期間も目視で確認するなど、運用が非常に非効率的な状態でした。
事業の成長に伴い業務は複雑化する一方で、管理部門の増員は難しく、専門人材の確保や育成も容易ではありません。そこで懸念したのが「業務の属人化」です。特定の担当者に依存する体制では、業務が滞るリスクがあります。
こうした状況を踏まえ、業務を標準化・効率化する基盤としてAIの活用が不可欠と判断し、「LegalOn」の導入を決めました。
数あるAIツールの中で「LegalOn」を選んだ理由は何でしょうか。
小田部様 汎用的な生成AIの実用性も高まっていますが、私たちが重視したのは業務全体の一元管理とナレッジの蓄積です。案件の受付から進行管理、審査、そして締結後の管理までを一つの仕組みで完結できる点で、法務特化型のツールが必要でした。
実は数年前から「LegalOn」のことは知っており、何度か説明を受けたこともありました。当時は社内体制や費用の面で導入を見送りましたが、ここ数年の進化は著しく、法務業務全般をカバーできるほど機能が充実したことを知り、「今が導入のタイミングだ」と、導入決定に至りました。
竹中様 ナレッジ管理の面でも大きなメリットを感じています。以前は過去のメールを探して経緯を確認していましたが、今は「LegalOn」上で一元的に把握できます。案件ごとに情報が整理されているため、探す手間がなくなり、業務効率が大きく向上しました。
案件受付から契約管理までを「LegalOn」で一元化

LegalOn導入前の契約審査業務のフローを教えてください。
竹中様 以前のフローとしてはまず、メールで審査依頼を受け付け、依頼部門から送付される申請書の内容を法務担当者がExcelの管理台帳へ手作業で転記します。案件は法務担当2名で機械的に振り分け、足りない情報をヒアリングしたうえで、担当者が相互に一次・二次チェックを行います。高度な判断が求められる場合には、顧問弁護士に相談。審査後の契約書は依頼部門へ戻し、相手方との交渉や締結は依頼部門が担当、押印は総務グループが行うという流れでした。
締結済みの契約書は、依頼部門ごとに管理していました。法務としても最終版を把握するためPDF送付を依頼していましたが、回収が徹底されないケースも多く、結果として管理が行き届かない状態になっていました。
契約書の管理に課題があったのですね。他にどのような点に苦労されましたか。
竹中様 依頼内容の台帳への転記作業や受領メールの送付といった細かな事務対応が、案件数の増加とともに大きな負担となっていました。また、進捗管理も十分とはいえず、特に交渉が長期化した案件では、過去の経緯を遡るために膨大なメールを検索し、台帳と突き合わせて確認する必要があり、多くの時間を要していました。
さらに、案件はすべて手作業で台帳に入力していたため、情報の転記漏れや情報更新の遅れが発生するリスクがあり、正確な進捗状況を把握しきれないことがありました。
また、これは締結後の問題になりますが、契約の有効期間が台帳にきちんと記載されておらず、更新期限の見落としが発生するなど、期限管理の仕組みも整っていない状態でした。全体として、管理台帳が十分に機能しているとは言い難い状態でした。
「マターマネジメント」モジュールの案件一覧画面。案件の基本情報を確認しながら、担当者の割り当てやステータス管理、検索・絞り込みが可能。案件の進捗や担当状況を俯瞰的に把握し、チーム全体の業務状況を効率的に管理できます。(※ 画像はイメージです)
LegalOn導入後、契約審査業務はどのように変わりましたか。
竹中様 「マターマネジメント」の「案件受付フォーム」を利用することで、受付から起案、案件管理台帳作成までが自動化されました。依頼者への受領メールの送信も不要となり、事務作業の負担は大幅に軽減されています。なお、依頼部門の負担を考慮し、フォームの必須項目は必要最小限にとどめています。
レビューのフロー自体は従来と大きくは変えていません。一方で、契約書管理については「コントラクトマネジメント」への一本化を進めており、事業部門の協力を得ながら締結済み契約書の集約を進めています。
LegalOn導入前後の契約書管理フローの変化
業務効率1.5倍を実現、属人化も解消へ

「LegalOn」導入の成果・効果はありましたか。
小田部様 導入前と比較して、審査依頼の件数は約1.5倍に増加しましたが、増員することなく従来と同じ時間内で業務を完遂できています。実質的に業務効率は1.5倍に向上したと言えるでしょう。また、法務業務を「LegalOn」で一元管理できるようになったことで、懸念していた属人化の解消も実現しつつあります。
竹中様 「マターマネジメント」のタイムラインを遡れば、契約に至るまでの経緯を正確に追えるようになりました。以前はメールを探し回る必要がありましたが、現在は一目で流れを把握でき、検索性も大きく向上しています。契約書のバージョン管理も明確になり、どれが最新ファイルか即座に判別できる点も大きなメリットです。
「マターマネジメント」モジュールのタイムライン画面。案件に関するメールや外部チャットツールの書き込み、LegalOn上のコメントなど全てのやりとりを時系列で一元管理できます。権限の設定により法務部内に限定したコメントを残すことも可能。(※ 画像はイメージです)
「LegalOnアシスタント」はどのように活用されていますか。
竹中様 契約書の修正検討時に、いわば「壁打ち相手」として活用しています。こちらの意図を踏まえた案を迅速に提示してくれるため、最終案に至るまでの検討時間が大幅に短縮されました。また、過去の契約書を探す際も、社名や内容を入力するだけで目的の文書にたどり着けるなど、検索精度の高さにも助けられています。
さらに、依頼内容の不足情報をAIが自動で検知し、依頼者に追加確認を促すエージェント機能にも期待しています。アップデートも頻繁にあり、日々進化を実感できる点も魅力です。
特に便利だと感じる機能はありますか。
竹中様 「比較」機能は特に便利です。定型契約であっても前回との差分を正確に把握できるため、確認作業の精度と効率が向上しました。
また、自社の運用に合わせて「コントラクトマネジメント」の管理項目を自由にカスタマイズできる点も重宝しています。当社では契約審査に加えて法務相談も「LegalOn」で管理しており、顧問弁護士への確認状況を可視化するために「弁護士確認中」という独自項目を設定しています。
圧倒的な効率化を進め企業価値向上に寄与

法務組織の今後のビジョンや目標を教えてください。
小田部様 生成AIの進化は、私たちの想像を遙かに超えるスピードで進んでいます。この力を最大限に活用し、これまで手動で行ってきた業務を自動化することで、圧倒的な効率化を実現したいと考えています。
一方で、そこで生まれた余力は「AIでは代替できない領域」に振り向けていく必要があります。自ら能動的にリスク情報を収集し、社内外のリソースを活用しながら企業価値向上に貢献していく――。こうした攻めの姿勢こそが、今後の法務組織には必要です。
最終的に求められるのは、人にしかできない高度なコミュニケーションです。メンバーには自身の業務に付加価値を見出し、「自分にしかできない仕事」に誇りを持って取り組んでほしいと考えています。
どのような企業に「LegalOn」をすすめたいですか。
竹中様 アナログな業務が多く、効率化の余地が大きい企業に特におすすめです。「LegalOn」を導入することで煩雑な事務作業を大幅に削減でき、案件数が多いほどその効果を実感しやすいと思います。
小田部様 大企業はスケールメリットを活かしやすい一方、従来のやり方に固執しがちな面もあります。変革にはリーダーの明確な意志が不可欠です。
一方で、小規模事業者にとっても大きな価値があります。専門人材の確保が難しい中でも業務効率化を実現できるため、合理化を進める有効な手段となります。企業規模を問わず、進化を目指す組織に適したツールだと思います。
法務がAIやテクノロジーツールを使いこなすための心構えなどはありますか。
小田部様 ツールは導入するだけでは価値を発揮しません。重要なのは、それによって生まれた時間をどう活用するかという視点です。空いたリソースを使って次に何をすべきかを主体的に考える力が、これからの法務には求められます。今後「LegalOn」に私たちの想像もつかないような機能が追加されていく未来を考えると、今から非常にワクワクしています。
(取材日:2026年3月)※掲載内容は取材当時のものです。